りつこの読書と落語メモ

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爪と目

爪と目

爪と目

★★★★

「あなた」は眼科で父と出会う。「わたし」の爪と「あなた」の目も必ず出会う。娘と継母の嫌悪と快感を斬新な語りで描く芥川賞受賞作

面白い。ガラス越しに自分や周りのことを見ているような現実味のない空気感。だけどざらざらの爪とか腕に食い込む女の指とか、いきなり境界を越えての肉体的な接触(それも不快な)があって、ぞわぞわくる。
わたしはあなたなのか、あなたがわたしなのか。あなたに育てられてしまったからわたしがこんなふうになってしまったのか。

blogの素敵生活を真似しだしたのはどういう意図があったのか。
「架空の独裁国家を舞台にした幻想小説」に出てくる「独裁者」が、わたしにとってのあなた、なのか。
暗示的ではあるのだけれどはっきりとした答えが与えられるわけではなくよくわからないのだけれど、神経に直接ピリピリくるような描写で、細部は忘れてもこの異様な感じは尾を引きそう。

怖いけど不快な怖さではなく好き。