りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治独演会

3/29(土)、三鷹市公会堂光のホールで行なわれた柳家小三治独演会に行ってきた。
この会のチケット、友人と申し込んで二人とも外れてしまったのだが、どうしても行きたくて毎日毎日チケット交換サイトで「小三治」でチェックしていたら、直前になって行けなくなってしまった方がいらして定価で譲っていただき無事に行くことができたのであった。執念!

・こみち「元犬」
小三治「出来心」
〜仲入〜
小三治禁酒番屋

こみちさん「元犬」
大好きなこみちさん。昨年この会に出たときは妊娠9ヶ月でしたが、あの時お腹にいた倅も無事10ヶ月になりました、と。
今日は倅をベビーシッターに預けてきました、というと会場が少しざわっと。それを受けて「ええ。ですから命懸けてきております」と笑わせる。
こみちさんの「元犬」は初めて聞いたのだけれど、うまいなぁ…。強弱のつけ方で距離感というのが生まれてくるのだなぁ。呼びかける声やしぐさで情景が浮かんでくる。
また犬がかわいい。お尻をふったりはしゃいだりするのがなんともかわいらしく、終始楽しい「元犬」だった。

小三治師匠「出来心」
舞台に小三治師匠の姿が現れると「待ってました!落語の神様!」という掛け声。
うへぇ…。どうも私はこの掛け声っていうのが嫌いだわぁ。あれがうれしい噺家さんもいるんだろうけど、でも小三治師匠が「落語の神様」なんて言われて喜ぶとは思えないんだけどなぁ…。
と思っていると「え?いまなんとおっしゃいました?神様?…ああ…。仏様じゃなくて良かった」と小三治師匠。
やっぱり喜んではいないよね…。

まくらもなしに「出来心」。
小三治師匠の「出来心」大っ好きなんだけど、いつも「花色木綿」の前まで。でももしかして今日は独演会だしまくらもなかったし…と期待していると、今回全部通しで!うれしい〜!
丁寧な「出来心」なんだけど、バランスがよくて飽きるところがない。
私がなによりも好きなのが、泥棒に入られた八五郎と大家さんの会話。
「裏は花色木綿。じょうぶむきであったかい。寝冷えをしない」となんにでもかんにでも言う八に対する大家さんが、「花色木綿がついた羽織なんてのがあるか。」「バカの一つ覚えだな」「また言ってる」と怒ったりスルーしたりあきれたりするのがなんともいえずいい。家賃の催促もするけど、泥棒に入られたなら仕方ない、ちょっと待つよ、と言ってくれるような人間関係。もしかすると落語の中だけなのかもしれないけど、そういうところが落語の一番好きなところ。

小三治師匠「禁酒番屋
二席目はちょっと柔らかい表情で話しだした小三治師匠。
どうやら今日は寝起きが良くなかったらしく背骨のあたりが寒い。そして覚えのないあざが肘にできていて、年をとると寝ぼけてどこかにぶつかったりするんだろうか、と。
それから自分の部屋がどれだけ散らかっているか、本や雑誌、洋服なんかで散らかっている部屋を通ってトイレに行くのがどんなに危険かというのを一生懸命説明するのがおかしてくしょうがない。
ここがこういう間取りでこういうものが散らかってて、ああーみなさんにお見せしたい。…ああ、見たいっ!小三治師匠のもので溢れかえった魔窟…!
それでどうやら最終的にはコーナーに置いてあった銅の置物(?)と箸やフォークやなにやらを雑多に詰め込んだ鉛筆立てが落ちていたのでそこの角にぶつかったらしい。床に落ちて普通だったら割れるところだったけど、そこには脱ぎ散らかした服やマフラーがあったので、ふわっとそこに包まれたおかげで割れずにすんだ、と。

それから先程やったのは「出来心」っていう噺ですけど、50分かかってましたね。自分でもやってて長いなぁと思ったから、聴いてるみなさんはもっと長く感じたでしょうね、と。
普段は通しでやることはなくて、前半で切ったり、後半だけやったり、だいたい誰もそうだけど、今回自分は思い出せる限りのところを全部やろうと思ってやった。
通しでやるから最初の失敗談は2つで抑えておいた。これまだ、大きなお屋敷に入って庭もあって噴水もあってすごいお屋敷だと思ったら日比谷公園だった、っていうのもあるんですけど、それもやっちゃうとだれちゃう。だから今日はやらなかった。あと古本屋に入ってみると上のほうにおやじが座っていたり、そういうところが自分は好きで。すごく面白いってわけじゃないけど、普通の人たちの普通の暮らしっていうのが見えてくるところが好きなんです。
で、落ち着いてタバコ吸ったり羊羹食ったりしてると2階から人が降りてきて苦し紛れに「さいごべいさん」っていうと本当にそうであわてて逃げ出して、なんであんな変な名前を思いついたんだろうって考えてると、ああそうだ、表札見て入ったからだっていうのね。自分で思いつく限りあれをやってる演者はいないんだけど、でも自分がそんなに面白いことを思いつくわけはないから多分もともとそういうところがあったんだと思うけど、あれは面白いと思ってるんです、と。

なんかこんなふうに噺について語る小三治師匠を見たのは初めてで感激。
私もこの噺は本当に好きなんだよー。前後編全部通しで見るのが夢だったんだよー。うわーん。
自分はもうお客さんが楽しんでるかとか笑ってくれるかとかそういうのは気にしないでやってる。終わって「あーー楽しかった」って自分が思えれば満足。不実に聞こえるかもしれないけどもうそういう了見は変えられない。でもこうやって出来る限りは噺を続けたいと思ってるのでよろしくね。
こんなことを言う小三治師匠も初めて見た。じーん…。
今日は機嫌がとっても悪かったんだけど、これを通しでやったらなんか機嫌が直っちゃった、としれっと語る小三治師匠が素敵だ。好きだ。

そしてお酒のまくらから「禁酒番屋」。
禁酒番屋」は二回目だったんだけど、いやほんとに酔っ払ってますよね。顔も赤くなってるし呂律も回らなくなってきてるし動作が大雑把になってきてるし。ほんとにお酒をほとんど飲めないというのが信じられない酔っ払いぶり。
こちらのほうは短く分かりやすく爆笑でまとめてあって、ほんとに見事だわー。素晴らしいー。満足ー。