りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

夢吉のバカ! 11→12

3/27(木)、上野広小路亭で行われた「夢吉のバカ! 11→12」に行ってきた。
前回行ってたっぷり3席夢吉さんの噺が聞けて大満足だったので、これからもできる限り行きたいと思っている会。
年齢層も幅広く(若いお嬢さんからおじいさんおばあさんまで)熱気が感じられる。

・三笑亭夢吉 ご挨拶
柳家蝠よし「金明竹
・三笑亭夢吉「狸の鯉」
・三笑亭夢吉「おせつ徳三郎」
〜仲入り〜
・三笑亭夢吉「水やの富」

まずは夢吉さんが出てきてご挨拶。
今回初めての試みがあるます、という夢吉さん。実はいつも開場前に席を間引くんです。満員感が出るように。でも今回はめんどくさかったのでやらなかったんですが、見た限りいっぱいですね、と。
いやぁ、間引く必要はありませんって。会が始まってからも来たお客さんもいてその人たちは座れずに立って見ていたくらいだから。もうちょっと人数が増えるとこの会場は厳しいかも。

蝠よしさん「金明竹
夢吉さんから元忍者と紹介があったので期待していたのだけれど、そのことにはあまり触れず。せっかく触れてくれたのだから利用すればいいのに…と思ったんだけど、前座さんだからそうもいかないのか。ちょっと残念。
あまり笑いが起こらない「金明竹」だったけど、言い立ては見事だった。

夢吉さん「狸の鯉」
何回か取材を受けたというまくら。師匠まで巻き込んで冷や汗の撮影だったのに雑誌が送られてきてみたら自分が自転車に乗ってるショットだけ。これはもう師匠に見せることはできないよ申し訳なさすぎて…と思っていたら、ご丁寧に師匠にわざわざ見せてくれた人がいたらしく、師匠から電話が。
どうしようと思っていたら「こんなふうに書いてもらえて本当に良かったな」。
本当に今も話すと泣きそうになっちゃうんです。のろけです、すみません、と。

また小柳枝師匠の話もよかった。
時そば」を習いに行った時、「こうやってやるんだけど、入歯になってからやりづらくなっちゃって…。歯は大事にしろよ」って歯のアドバイスになっちゃった、というのに笑った。
小柳枝師匠は以前対談しているところを見て、なんて感じのいい師匠なんだろうと思っていたんだけど、本当に優しい人なんだなぁ…。夢吉さんの話を聞いたらもっと好きになってしまった。
夢吉さんは好きな先輩がたくさんいてそういう人に教わりに行くから、いろんな噺をたくさん持ってるんだろうなぁ。
自分の師匠や先輩の悪口を言う噺家も多いけれど、やっぱり嫌いを語るより好きを語ったほうがプラスだよなぁ、と夢吉さんを見ていると思う。

「狸の鯉」は初めて聞いた噺。
たぬきの恩返しの噺はたくさんあるけれど、これは鯉に化けて親分のところに子どもが生まれたお祝いに持っていく。
台所に置かれてから逃げればいいよとたぬきに話をするのだが、喜んだ親分はその場で自分の子分にさばかせようとする。
持っていったくまさんは「ごめんよ!」と薄情にも逃げてしまい、鯉をさばこうとする子分が鯉が温かいことや獣くさいことや毛がついてることを怖がるんだけど、これがもうおかしいおかしい。

夢吉さんはたぬきのはなしを3つ持っているんだけどそれぞれ教えてくれた師匠が違っていてまるでタイプが違うのでこれをいっぺんにやると「多重人格者。ビリーミリガンになっちゃう」というのがおかしい。ぜひ見てみたい。

夢吉さん「おせつ徳三郎」
夢吉さんの定吉は本当にたまらない。こすっからくて生意気でも夢吉さんの清潔感があるのでいやらしくなくてかわいらしい。
「花見小僧」は何回もいろんな演者で見ているけど、細かいところがいろいろ違っていて面白い。芝居っぽいところもあって楽しかった。

夢吉さん「水やの富」
初めて聞いた噺。利の薄い商売として水やを紹介したあと、この水やを長年しているけれど年と共に体に負担もかかるし別の商売にかわりたいと思っている水やさん。
あるとき友達に頼まれて買った富くじが当たって大金を手にする。これで水やをやめられる!と喜ぶのだが、代わりを見つけないとお客さんに迷惑をかけてしまう、と毎日商売に出かける。
しかし大金を家においていくのは心配でしょうがない。押入れに入れるか、神棚にあげるか、あれこれ考えた挙句、畳の下にしまって、それを毎日長い棒でつついてあるかどうかを確かめる。
寝ても金を盗まれる夢ばかり見てまんじりともできない。この盗まれる夢がリアルで見ていてこちらもドキドキしてしまう。
面白かったけど爆笑できるような噺でもないしなかなかやりようが難しそうだな、と思った。