はじめからその話をすればよかった
- 作者: 宮下奈都
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 単行本
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瑞々しくて、あたたかい宮下小説ワールドの原風景を網羅。小説を書く理由、自著の創作秘話、三人の子供たちを愛おしむ日々、大好きな本や音楽と共にある暮らし…デビューから9年間で紡がれたエッセイ81編+単行本初収録の掌編小説4編。
宮下さんの小説はいつもまっすぐで前を向いていて丁寧に描かれている印象があったのだが、エッセイを読んで、なるほどと思った。とても真摯な方なんだなぁ…。
若い人なのだろうと勝手に思っていたのだが、3人目のお子さんが赤ちゃんの時に書き始めたとあって驚く。物語を読むことと書くことをとても大切にしていることが伝わってきて、そのまっすぐさを若さと感じていたのだなと思う。
子どもに向ける眼差しがこの先の日本を思う不安と重なり、私自身と同じ気持ちを抱いていることを強く感じた。
必ずしも共感だけを期待してエッセイを読むわけではないのだけれど、根っこの部分で信じているものや守りたいものが同じというところに、とてもほっとした。
いろいろな想いを抱いて北海道に移り住んだ宮下さんの次の作品が楽しみだ。