りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会(行徳名人会)

3/9(日)、行徳文化ホールで行われた小三治独演会(行徳名人会)に行ってきた。

・はん治「鯛」
小三治「やかんなめ」
〜仲入り〜
小三治「錦の袈裟」

はん治師匠「鯛」
「鯛」ロングバージョン。安定の面白さ。好き。

小三治師匠「やかんなめ」
体調が良いのか、ご機嫌な小三治師匠。まくらたっぷり。

今日の落語会、満員御礼と聞いているんですが、市川に貼ってあるポスターには「残席有」となってるらしいですね。どういうことなんでしょうか。これが行徳のいいところですね。ゆるいというかあいまいというかいい加減というか。はっはっは。
漫才、つまらなくなりましたね。本当につまらない。
つまらないやつが集まって1位だ2位だって騒いでる。なんでしょうか、あれは。
なのにあのつまらないのを何度も何度も流して「ほら、面白いだろう」「え?これの面白さがわからない?」って見てる側を責めるから「あれ?これが面白いのかな」ってなっちゃってる。
落語もそうです。面白くない落語が多い。

私の落語なんて面白くないですよ。なのに最近は「名人」なんて呼ぶやつもいる。名人って…。死んだ人を呼ぶ言葉じゃないんですか。それに私は名人じゃないですよ。そんなことは自分で一番よくわかってる。
といって、私は48歳ぐらいの時に「若手のホープ」って呼ばれたこともあるんですけどね。でも48歳で若手のホープっていうのもねぇ…。それも失礼な話ですねぇ。
仲間のことを悪く言うのは良くないですね。悪口を言うってことはそれに比べてオレは、って言ってることになっていやらしい行為ですから。
でももう私は先も短いしね。思ったことは言うんです。

なんか今日はいつにもまして自由な小三治師匠(笑)。
楽しそうに思いつくままに話しているのを見ると、聞いてるこちらもうれしくなってくる。

それから歯が痛くなって歯医者に行って3本分の歯の神経を抜かれてめちゃくちゃ痛いという話から、昨日は子どもと孫が家に集まりましてね、と。
私には子どもが3人いるんですよ。「こさんじ」ですから。
孫はねかわいいですね。でもうるさい。「孫は来てよし帰ってよし」本当にそうですね。孫がいる方はわかるでしょ?
それで一家で外食に行ったんです。私のおごりで。高級な店に。あれですあれ。ロイヤルホストロイホ

小三治師匠の口から「ロイホ」なんて単語が出てくるともうそれだけでおかしい。
しかも歯痛の師匠は水しか飲めず、子どもたちに「あらお父さん今日は食べないの?」なんて言われ、他の者たちはガツガツ遠慮なく食べて2万7千円払わされた、と。
育ちが悪い。いったい親はどういう育て方をしたんでしょう。 って言いながらすごくうれしそう。

たっぷりのまくらのあとは「やかんなめ」。
前に一度入間で見たことがあったけど、今回は席がよかったので(4列目のど真ん中)表情がちゃんと見られてうれしい。
女主人が癪を起して慌てふためく女たちがかわいい。主人をおもう一心で侍のことを「やかんにおいでくださりましたよ」と言うのが、たまらない。
無礼な!と怒りながらもなんとかして助けてやろうとする侍も男前。
ごきげんな「やかんなめ」。

前半まくらもたっぷりだったから後半はまくらなしだろうと思ったらそうじゃなく、後半も柳句会の話など。
句会の話は「まくら」で読んだことがあったんだけど、こうやって直接聞ける幸せよ…。
小沢昭一さんの煮こごりの句、「いやらしいでしょう〜」と小三治師匠が言うのがおかしくておかしくて。
小三治師匠の話に感傷的なところはみじんもないのに、なんだか聞いていてじーんとした。

小三治師匠の「錦の袈裟」は初めて。
短縮バージョンだったけれど、小三治師匠の与太郎はかわいいなぁ。
バカというよりかわいくて、おかみさんがぶつくさ言いながらも袈裟を用意してやる気持ちが分かる。

今日はまくらもたっぷり、噺もたっぷりで大満足のお客さん。
いいものを見られたなぁ!という気持ちのこもった拍手が鳴りやまなかったのだが、なぜか緞帳が降りてこない。
この日は夜の部もあったから、喘息を警戒して降ろさなかったのかな。
緞帳が下りないので小三治師匠が高座を降りて頭を下げたのだけれど、まだみんなが拍手をしている。
帰ってくださいと小三治師匠が手で示してもまだ拍手。ちょっと前に出てきた小三治師匠が「ありがとうございました。またお会いしましょう」と笑顔で言って、会場全体が満足な気持ちに包まれて、みなようやく立ち上がった。

いやぁすごくいい会だったなぁ。 会場の雰囲気もとてもよかったし、小三治師匠も楽しそうで。
来た甲斐があったー。大満足。