りつこの読書と落語メモ

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第52回 人形町らくだ亭

2/24(月)、日本橋公会堂で行われた「第52回 人形町らくだ亭」に行ってきた。
らくだ亭に行くのはこれで2回目。小満ん師匠、さん喬師匠、雲助師匠、一朝師匠、志ん輔師匠の五人のレギュラーを軸にゲストを交えて行う会ということで贅沢極まりない。というか、もともとはお弟子さん(喬太郎師匠、一之輔師匠、白酒師匠)の方を好きだったのに、見ているうちに師匠の方を好きになる、というのが最近の私のパターン。

・緑太「やかん」
・一蔵「黄金の大黒」
・雲助「幇間腹
・一朝「三方一両損
〜仲入〜
・さん喬「白ざつま」

緑太さん「やかん」
緑太さんはこれで2回目かな。
前にも「やかん」を見て、面白いし達者だと思うんだけど、なぜかあまり笑いが起きてない。緑太さんに限らずなんかあんまり笑わないお客さんだったなー。こういう本寸法な落語会ってそういうものだろうか。私は笑いの沸点がかなり低いんだけど、それにしてもなんか笑ったら負けみたいな雰囲気がちょっと…おやじが多い会だから、なのか?むむむ。

一蔵さん「黄金の大黒」
いつものように田柄高校、娘の塾のまくら。
「黄金の大黒」は大好きな噺なんだけど、ちょっとがちゃがちゃしすぎなような…。元気がいい分単調になってしまっているような気がしないでもない。

雲助師匠「幇間腹
雲助師匠の「幇間腹」は初めて。
若旦那が「退屈だねぇ」とぷか〜っと煙草をふかしているところがなんともいえずおかしい。
調子よくお世辞を言いまくっていた一八が針を打たれると分かった途端腰が引けるのがまたおかしい。
きょとんした顔で前のめりになったかと思うと、にかっと笑って後ろに下がる。これだけでおかしいんだよなぁ。 楽しかった!

一朝師匠「三方一両損
この噺、面白いと思ったことがない。
せっかく財布を届けに来てくれたのに江戸っ子だからそんなもんはいらねぇんだい!と文句を言って果ては殴ってしまう吉五郎のことを、なんかめんどくさいやつだなぁ…と思ってしまい、イラッときてしまうのだ。

でも一朝師匠のを見て初めて大笑いした。
とにかく啖呵が威勢が良くてバカバカしくって楽しい。
あんなに財布を返してもらうのは嫌がったのに、ごちそうは喜んで食べるんかい!とか、褒美は受け取るんかい!とか突っ込みどころは満載なのだが、とにかく意味もなく威勢が良くてケンカっぱやい江戸っ子というイキモノを楽しむ落語なのだな、と納得した。
一朝師匠、好きだ〜。今年はもっとたくさん一朝師匠を見たい。

さん喬師匠「白ざつま」
出たーー「白ざつま」。前にテレビでさん喬師匠の「白ざつま」を見て、こ、これはいったい…どういう噺なのだ?と、頭の中がはてなでいっぱいになったのだ。

もともとは自分が夢中になって縁談を進めてもらって結婚した奥さんのことを煙たがるようになり、芸者菊江に入れ込むようになった若旦那。
病気になり実家に帰って臥せている妻の見舞いに行くように父親に言われても、自分は病人が嫌いなのだとうそぶいて行こうとしない。
店の者にも義理の父親にも気を使ってくれてあんなにできた嫁はいないと言われても、のらりくらりとかわす。

父親が見舞いに出かけると早速遊びに出かけようとする若旦那を番頭が止める。今日だけは絶対出かけちゃいけない。旦那に頼まれたんだ、と。
すると若旦那、番頭がこっそり芸者を囲っていることをネタに番頭を強請ってどうにかして出かけようとする。 仕方なく番頭はそんなに行きたいのなら仕方ない、菊江を家に呼びましょう、という。
そう言われて若旦那は店を早めに閉めさせて店の者が食べたいものをとっていいぞ、酒も飲もう、とおおはしゃぎ。
そのうち菊江もやってきて三味線を弾いたり踊ったり飲んだりして騒いでいると、旦那が帰ってきて…。

酔った番頭が、どうしてあんなにいい奥さんをないがしろにして芸者になんか入れ込むんだ!と迫ると若旦那が言う。
あいつは俺の前で笑ったことがない、と。
確かによく気が付いてできた女房だけれど自分の前で声をあげて笑ったり泣いたりすることがない。
それにひきかえ菊江はうれしければ大笑いするし悲しければわんわん泣くし腹が立てばものすごい剣幕で怒る。そこがかわいいのだ、と。

もうもうもう!と聞いているとなんだか腹が立って、こんのやろう!と胸倉をつかみたくなってくる。
逆に奥さんが菊江みたいな女だったら、家では休まらないとか言って今度は世話焼きな芸者に入れ込むんだろうよ。結局はそうやってないものねだりをするんだよ。ちっ。

奥さんが生きるか死ぬかの瀬戸際になってもまだ逃げ続け遊ぼうとする、不謹慎極まりない人間の姿を描き出した…ということなんでしょうか。
ちょっとひどいよーと思いながらも、つい笑ってしまう。でも笑うと自分も若旦那同罪になったようでちょっと悔しい。

それにしてもさん喬師匠はうまいなぁ…。
毒があるけど清潔感があってすっとしているから思わず引き込まれてしまう。
そしてこういう噺を見事に演じるさん喬師匠を見ると、喬太郎師匠が自分の師匠に選んだ理由がわかるような気がしてくる。
良かった〜。会場で次回のチケットも買っちゃった。