りつこの読書と落語メモ

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土台穴

土台穴 (文学の冒険シリーズ)

土台穴 (文学の冒険シリーズ)

★★★

「私的生活30周年を迎えたその日、ヴォーシェフは、彼がそれまで生活の資を得ていた小さな機械工場を解雇された。通知状には、体力のなさや思考癖がいよいよ目だち、全体の作業テンポを著しく乱していることを理由に現場から取りのぞかれると記されてあった。…」自らの存在に不安を覚えつつ、ヴォーシェフは生活の糧を求め、永遠に快適な生活を約束する共同住宅の、建設現場へとたどり着く。そこには、貧しい食事と厳しい自然に苛まれながらも、理想の住宅を作るために土台となる穴を掘りつづける労働者や技師たちがいた。朝から晩まで、骨身を惜しんで働きつづける男たち。やがてそこに、1人の孤児の少女が現れ…。驚倒すべき視覚的イメージと、異様ともいえる言葉の衝突で、現代に生きる人間の孤独と生死を超えた宇宙の営みを描き出し、「20世紀のドストエフスキー」と異名をとる、今世紀ロシア最大の作家の幻の傑作。

近年まれに見る読みにくさとわかりにくさ。
何がなんだかと頭の中がはてなでいっぱいになりながらどうにか読んだ。

最初は社会主義の中で自分の生きる意味を見失った青年の哲学的な悩みを描いた作品なのかと思ったのだが、プロレタリアートが住むためのユートピアを建てるための土台穴を掘る人たちも農業集団化の名目で富農を追い出す人たちもそれを迎える貧農も誰も彼もがバタバタと死んでいく。
飢え?寒さ?あるいは激動する社会の犠牲になって?

人々の希望でもあり体制を声高に支持していた少女の死がロシアの未来を暗示するようでもあり不気味。
その中にあって嬉々として鉄を叩く熊のミーシュだけが幸福そうに見えるのも、象徴的だ。

これを面白く読める人を尊敬するわ…。私は歯が立たなかった。ばたり…。