りつこの読書と落語メモ

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守備の極意

守備の極意(上)

守備の極意(上)

守備の極意(下)

守備の極意(下)

ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札を―アメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。

ガイブン酒場で聞いたときからこれは絶対好きな小説だ!と思っていたけど、いやまさに。どこからどこまでも好みな小説。

ウェスティッシュ大学野球部の捕手シュウォーツはある日助っ人で参加した試合で、試合後の守備練習をする一人のショートに目を奪われる。 小柄で痩せっぽちのその選手は試合中は目に留まることはなかったのだが、練習の時に見せた守備の非の打ち所のなさ。こんな才能を目の前にして黙って立ち去るわけにはいかない。シュウォーツは早速その選手に声をかけに行く。

ショートの名はヘンリー。
アパリシオという選手の書いた「守備の極意」という本をバイブルに、天才的な守備でノーエラーの記録を更新してきたヘンリーだが、小柄なヘンリーは大学から声がかかることもなく大好きな野球との別れが近づいていることを嘆いていた。
そんなヘンリーにウェスティッシュ大学野球部への入部を勧めるシュウォーツ。そんな夢のようなことが起きるわけがないと半信半疑のヘンリー一家だったが、シュウォーツの情熱的な行動力のおかげで、ついに入学を許可される。

初めての寮生活、垢抜けた大学生たち、マッチョな選手たちに気圧されながらも、シュウォーツの鬼の特訓を受けて体を鍛え徐々に頭角を現していくヘンリー。
寮で同室の優秀な頭脳と並外れた運動能力を持ったゲイの野球部員オーエン。
学長の娘で優秀な頭脳を持ちながらも講師と駆け落ちしてうつ病になりかけて父親のいるウェスティッシュ大学へ戻ってきたペラ。ペラの父親で学長のアフェンライト。
これらの人たちが大学でめぐりあい、交わっていく。

野球がなければ出会わない人たち、停滞したままだった人生が、野球によって結び付き、ぼろぼろになりながらも再生してゆくのが素晴らしい。
一風変わったテンションで描かれているので、ストーリーがどう転んでいくのかが想像がつかず、ハラハラドキドキしながら夢中になって読んだ。
野球小説として読むと少し物足りないのだが、その分小説としてリアルに仕上がっているように思う。

これが処女作らしい。次回作も楽しみ。翻訳されますように…!