りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ジャージの二人

ジャージの二人 (集英社文庫)

ジャージの二人 (集英社文庫)

★★★★★

恒例の「一人避暑」に行く父親と犬のミロにくっついて、五年ぶりに北軽井沢の山荘で過ごす小説家志望の「僕」。東京に残った妻には、他に好きな男がいる。危ういのは父親の三度目の結婚も同じらしい。―かび臭い布団で眠り、炊事に疲れてコンビニを目指す、アンチスローな夏の終わりの山の日々。ゆるゆると流れ出す、「思い」を端正に描く傑作小説。翌年の山荘行きを綴る『ジャージの三人』収録。

うわー好きだわー。
主人公はかなり追い詰められていてヨレヨレなのにそこに没頭せずに山荘のあれこれやそこで会う人たちに興味をひかれてなんとはなしに進んでいく。
父親とも絶妙な距離感で心通わせ合う訳でもなければ全くすれ違っている訳でもない。

逃避?いや違う、これが私たちのリアルな日々だと思う。
妻が不倫なんてそれだけで大事件で悲劇だけど、絶望しながらご飯は食べるし、取り繕ったりしながら気が付けばその事を忘れて何かに興味をひかれていたり。淡々としてるのに小説として成立していてカタルシスもある。凄い。大好き。