りつこの読書と落語メモ

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バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集

バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集

バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集

★★★★★

突き抜けた意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王、秘蔵の傑作群。ミステリあり、スラップスティックあり、ロマンティックな恋愛ありの、多彩な味わいで贈る日本オリジナル短篇集。本邦初訳多数。

短編だとより唐突感が際立つなぁ。意地が悪くて偏屈で決して受け入れやすい感じではないのだが不思議となにか引っかかるものがある。
「ポートベロー通り」とは今年感動の再会を果たしたのだが、この作品にしても読んだ当初は特に感動したわけでも面白いと思ったわけでもなかったのだ。でも物語の断片が小骨のように引っかかっていて、あれはなんだったんだろう?誰の作品だったんだろう?もう一度読み直してみたいという気持ちが年を経るほどに強くなり、長いこと探してようやく見つけだしたのだった。
スパークの作品にはそんな不思議な狂引力がある。

この短編集に収められたのもそんな作品が多い。
なんといっても1作目が私にとってそんな思い入れの強い作品「ポートベロー通り」というところがたまらない。

友人の家に泊まりに行って徐々に強まる違和感。
信用ならないのは自分なのか相手なのか。
善意と悪意の境界があいまいなように、生と死の境界もあいまいで、どちら側から見るかによって印象がまるで変わる。
そんな境界を行き来するスパークワールド。大好きだ。