りつこの読書と落語メモ

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リバーサイド・チルドレン

★★★★

カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる―。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦難の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは?激賞を浴びた『叫びと祈り』から三年、俊英がカンボジアを舞台に贈る鎮魂と再生の書。

「叫びと祈り」とはまた全く違った作品でちょっと驚いた。
カンボジアのストリートチルドレンと暮らす日本人の少年ミサキが主人公。
ゴミを漁って得たわずかの金を分けあって川のほとりの掘っ立て小屋で暮らす子どもたち。親に捨てられたり虐待から逃げてきたり親に売られたり…子どもだけで暮らすには彼らなりの事情があるのだが、汚らしく盗みも厭わない彼らに世間は冷たい。
それでも希望を失わずに生きていけているのは仲間がいるから。特にリーダー格の少年は太陽のような存在で、彼の明るさと真っ直ぐさが少年たちに規律や善意を教えてくれている。
しかしそんな彼らの危うい生活がある日暴力よって破壊される。守ってくれる存在を失いお互い疑心暗鬼に陥る少年たち。そして明かされるミサキの過去。

スラムの様子や子どもたちの生活がリアルに描かれていて、ゴミの山の臭気や生暖かい雨の匂いがしてくるようだ。 作者はミサキ自身なのではないかとおもうほど。
しかしその分ミステリー部分が稚拙に感じてしまった。
無理矢理ミステリーにしなくても良かったのでは。でもその部分がないと読み進めるのが辛いか…。前半が大きく膨らんだだけに尻すぼみ感があったけど、こういう物語をミステリーとして仕上げるところがまた面白さなのかもしれない。
次回作も楽しみだ。