りつこの読書と落語メモ

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死ぬ気まんまん

死ぬ気まんまん (光文社文庫)

死ぬ気まんまん (光文社文庫)

死ぬ気まんまん

死ぬ気まんまん

★★★★★

昨年11月に亡くなった佐野洋子さんの『小説宝石』(2008〜09年)に連載されたエッセー。
ガンが転移し余命2年を宣告されながらも、煙草を吸い、ジャガーを購入し、ジュリーにときめく。そんな日常生活や、一風変わった友人たち、幼い頃の思い出などが、著者ならではの視点で語られる。その他、主治医との対談や、ホスピスでの「死」の見聞を綴った「知らなかった」、関川夏央氏による「『旅先』の人」を収録。

かっこいいなぁ。死を前にしてこのかっこよさ。
ガンと闘うなんて真っ平ごめん。死ぬのは怖くないけど、痛いのはいや。
「おふくろ最近死ぬ気まんまんなんですよ」と息子さんに言われるおかあさん。
死生観をちゃんと持ってるから取り乱さないのだろう。しかしその死生観を作ったのは、戦争であり父親や兄弟たちの早すぎる死であり「金と命は惜しむな」という家訓なのだから、そういう経験なしにのほほんと生きてきた私たちが羨ましがるのはお門違いだ。

どんなに毒舌をふるっても、どんなに自分は醜くて尊敬してくれる人もいないと公言しても、その繊細さと豪放さは美しく輝いている。素敵だ。
だけど寂しい。もう佐野洋子がこの世にいないということが寂しい。