りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

★★★★

ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた十三人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の五十一%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのは―その五十一%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も…。いったい、なにがどうなっているのか?

邦題が絶妙だ。真っ黄色の表紙にこの題名、素通りできるはずがない。

へんてこりんな話なのに、あるよねーと普通に受け止めてしまえるのは登場人物たちが異常を日常として受け入れているせいだろうか。挿し絵の影絵も素敵で、ゆったりと楽しく読んだけど、読み終わってほとんどなにも覚えていない不思議。
あれ?なんだっけ?どういう話だったっけ?

あとがきをゆっくり読んでもう一度最初から読み直すと、ああ、なるほど…。とようやく腑に落ちる。
私たちはいろいろな不安や不満を抱えて生きているけれど、それが形になって現れた時のおそろしさよ。