りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第80回所沢寄席 柳家小三治一門会

10/18(金)、所沢ミューズマーキーホールで行われた「第80回所沢寄席 柳家小三治一門会」に行ってきた。
今週は2回も小三治師匠に会えて幸せ…。

柳家小かじ「道灌」
柳家一琴河豚鍋
〜仲入り〜
柳家そのじ 寄席囃子
柳家小三治「うどん屋」

小かじさんの「道灌」。
小かじさんは三三師匠のお弟子さん。やっぱり柳家は最初は「道灌」なんだなー。
すごくちゃんとした「道灌」だった。小三治師匠の前でやるのは緊張するだろうなぁ…。

一琴師匠「河豚鍋」。
一琴師匠は「落語研究会」で見たことがあってまくらが短い印象があったんだけど、この日はたっぷり。
奥さんを助手席に座らせて車に乗っていてスピード違反で捕まったというまくらから「河豚鍋」へ。初めて聞く噺だったけど、おいしそう〜。
北海道旅行のお土産に「東京バナナ」っていうくすぐりがおかしかった。

そのじさんは初めて見たんだけど、上品〜。
小菊さんを見慣れているせいか、ゆったりしたテンポが新鮮。
落語の中に出てくる歌を解説を交えて披露。なるほど〜こういう歌だったのか!と楽しかった。

小三治師匠「うどん屋」。
中学校の同窓会に行ってきました、という話。
自分はもうすぐ誕生日で74歳になるのだが、クラスメイトもみなそんなような年。
現役で仕事をしているのは自分ぐらいかと思っていたが、今も現役でやっているという人が何名か。
そのうち一人は東武鉄道に勤めていたが今はほらあの…東京タワーの次のやつ…タワーじゃなくて、ええとあの…ああ、こういうのが本当に出てこなくなりました。悔しいような面白いような。
その管理っていうかね、所長、じゃないんですよ。でも平じゃない。ま、そういう立場にいて月に2回ぐらい行って給料も当然もらってる。それで「現役」って言われてもねぇ…。
あたしなんか毎日働いてますよ。こういう会が毎日あるわけじゃないけど、会がないときでもインタビューがあったり協会の仕事があったり。

それでねえ。悔しいのがあれですよ。「私はもう仕事は引退しまして今は悠々自適」ってやつ。なんですか、悠々自適っていうのは。悔しいじゃないですか。
私もね、他の仕事に憧れたり、趣味に走ったりしたことがありました。でも今は、こうやって自分の仕事を続けているっていうことが一番幸せなことだと思うようになりました。面白いですよ。やっぱり自分が長くやってきた仕事っていうのは。

会社を辞めたくて仕方がない私には眩しすぎる言葉…。素敵だなぁ。
もっともっと話を聞きたい。自分の話をしてほしい。そんな気持ちになる。

今年の夏は暑かったですね。秋がなくていきなり冬になりましたね。
天気予報でそんなことを言っていて、まさかそんな馬鹿な話しがあるかいと思っていたら、本当にそうなりました。
そんなまくらから「うどん屋」。

いやこの「うどん屋」が本当に素晴らしかった。
うどん屋のちょっと間抜けな売り声、それで町の静けさや寒さが伝わってくる。
火に当たらせてくれとやってきた酔っぱらいがもう絶品。がっと怒ったかと思うと急にへいこら謝ってにた〜と思い出し笑い。そして同じ話を繰り返す。
いるいるこういう酔っ払い。飲まない小三治師匠が本当にリアルな酔っ払いぶりで見事としか言いようがない。

当てが外れたうどん屋が期待したりがっかりしたり。ほんのちょっとの上目遣いやにっこり顔で心の動きが伝わってくる。
まるでお芝居を見ているようで、じんわり楽しくなる。
ものすごくいいものを見た!という満足感でいっぱい。

小三治師匠は行くたびにまくらも違うし噺もいろいろな噺をされる。追っかけのように行っていても同じまくらや同じ噺が続くということがない。凄いなぁと思う。
航空公園はさすがに遠かったけど、行った甲斐があった〜。幸せ。