りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭 10月上席夜の部 柳家喬志郎真打昇進襲名披露興行

10/10(木)、新宿末廣亭で行われた「柳家喬志郎真打昇進襲名披露興行」に行ってきた。
天どん師匠以外のお披露目に行くのはこれが初めて。
喬太郎師匠の会で何回も見ている喬志郎師匠。何回も見ているうちにだんだん身内のような気分になってきて、応援したい気持ちに。

・初音家左橋「時そば
・柳亭左龍「宮戸川
林家ペー・漫談
柳家さん喬「締め込み」
・五明楼玉の輔「財前五郎
〜仲入り〜
・真打昇進披露口上(玉の輔・扇遊・喬志郎・さん喬・圓丈)
林家正楽紙切り
・入船亭扇遊「一目上がり」
三遊亭圓丈「強情灸」
・仙三郎社中・太神楽曲芸
柳家喬志郎「厩火事

左橋師匠「時そば」。
初めて見た師匠。おなじみの噺だが、ところどころ独自の新作っぽい部分があって面白い。
うまいこと勘定をごまかした客を見て自分も真似をしようとした男が、「景気が悪いけどどうだい」と聞くと「悪いも悪いどん底です。もう首を括ろうかしら」と言われ絶句したのが面白かった。

左龍師匠「宮戸川」。
面白かった!逃げる半七に追いつき追い越したお花ちゃんが勝って見せるポーズ(アジャコング?)、走る時の様子がたまらなくおかしい。
寝ぼけたおばあさんの暴走も楽しいし、早合点のおじさんも元遊び人っぽい匂いがして楽しい。
今まで見た左龍師匠の中で一番よかった。好きだ。

玉の輔師匠「財前五郎」。
まくらも落語もなめらか〜で聞き心地がいいんだけど、きっとこのまくら、もう何年もずーーーっと同じなんだろうなぁ、というこなれ感。一度目は大爆笑だけど、次もまったく同じだとちょっとがっかりだなー。
がんの告知をしなければならない「財前五郎」。患者にできるだけショックの内容に伝えたいと看護婦に相談すると、脈をとりながら「がん」を連想させる言葉を言ってみて、その反応を見て告知するかどうかを決めたらいいんじゃないか、と言われやってみる。
財前五郎の非人間っぽさが玉の輔師匠にぴったりで楽しかった。

口上は、玉の輔師匠が進行。
扇遊師匠の口上がとてもよかった。
喬志郎は静岡の出身でして、静岡というのは気候もよくて食べ物もおいしくてそのせいかのんびりぼんやりした人間が多い。
人の前に出てやろうとか、踏まれても踏まれても立ち上がる雑草のような…というところはない。同じ静岡出身で雑草を食べていた鯉昇っていうやつはいますけど。
喬志郎もそういう静岡県人らしい人間で人前に出るのが苦手っていう噺家にあるまじき性格ですけれど、これから精進していくのでみなさん、あたたかく見守ってください。
高座に入ってから、「あ、言いそびれましたけど、私も静岡の出身です」というのがまた扇遊師匠らしくて素敵。そうだよなぁ。いろんな芸風があっていいんだよな。のんびりゆっくりもいいじゃないか、と思えた。
さん喬師匠の言葉も良かった。師匠は弟子に水をやることはできるけど花を咲かせてやることはできない。花を咲かせるのは本人にしかできないこと。みなさん暖かく見守ってください。

喬志郎師匠「厩火事」。
この噺は難しいよなぁ…。ものすごく笑えるというわけでもないし、かといって人情噺ってわけでもない。私はこの間雲助師匠のを見て初めてこの噺の面白さがわかったのだ。色気がないと演じるのは難しかろう…。

喬志郎師匠はとにかく一生懸命体当たりで頑張っていたけれど、正直まだまだなのかな、と思った。(えらそーですんません)
でも目先のギャグに逃げたりしないで真正面からやっていた姿は素敵だった。がんばれ〜。
って母の視線で見てしまっていたのだが、本物の母だったらあたしは60代だよ…。おいおい。