りつこの読書と落語メモ

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なめらかで熱くて甘苦しくて

なめらかで熱くて甘苦しくて

なめらかで熱くて甘苦しくて

★★★★

最初から、こんなふうなものだと知っていた気がする——性のふしぎを描く瑞々しく荒々しい作品集。なつかしいのは、男たちの弱さだ——。(ignis)「それ」は、人生のさまざまな瞬間にあらわれては「子供」を誘い、きらきらと光った——。(mundus)年齢も男女の別も超越し、生と死の交差する場所からあらわれては消えてゆく何ものか。いやおうなく人を動かす性の力をさまざまなスタイルで描きあげた魅惑的な作品集。全五篇。

帯に「みずみずしく荒々しい作品集」とあるけれど、みずみずしさはあまり感じないかなぁ。荒々しさはあるけど。
どちらかといえば、この表紙があらわしているように、じっと中を覗き込んでいると心をかき乱されて不安になるような、底の見えない沼のような作品集だ。
なんとなく、川上さんいま足掻いてるのかな、苦しいのかな、と心配になったり。

「aqua」。思春期の少女たちの性の目覚めが描かれている。
早熟で誰よりも先にそこに足を突っ込んでいった汀。
自分からは進んで足を踏み入れまいとしていたのに、よりにもよって両親によってその深淵を見せられてしまった水面。
なんとも感想が書きづらくてでも心をかき乱される作品。

「terra」。
読んでいて感じる違和感、あれ?いまなんて呼んだ?とページを行きつ戻りつしながらのこのラスト。これ好き。

「aer」。妊娠と出産の物語。
妊娠と出産を神聖化している人たちに読まれたら怒られるでー。私は嫌いじゃないけど。

「ignis」「mundus」。
なんだかわからなくなってきたー(笑)。
でも死に近づいてきたことはわかる。
性の行為は限りなく死を感じさせる。以前他の作家の作品でも同じようにか感じたことがあったけどあれはなんだったっけ。
そうだ。ジム・クレイスの「死んでいる」だ。そういえばあの本は川上さんの「大好きな本」で紹介されていて読んだのだった。