りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

機械男

機械男

機械男

★★

僕は機械しか愛せない。人間は非論理的だ。恋人も友人もいないけれど、でも人間と関係を結ぶなんて非効率で面倒くさいじゃないか。そんなある日、僕は職場の事故で片脚を失う。そのときひらめいたのだ―エンジニアとしての才能を注ぎ込んで、生身より断然高性能の脚を開発しようと。名づけて「美脚」。その出来は素晴らしく、僕は残る片脚も機械化した。これが僕の未来を開いてくれた―僕に共感を抱いてくれた初めての女の子、ローラとの出会い。恋の成就。会社が与えてくれた大規模な開発チーム。思いのままに研究を進められる自由。だが僕は知らなかった、すべての背後に社の軍需部門の思惑があったことを。やがて暴走をはじめる開発チーム。姿をあらわす「機械化兵士」開発計画。それは僕の彼女、ローラまでも巻き込んでゆく。大地を揺るがして疾走し、轟音とともに跳躍する機械の脚。それを武器に、理系オタクは恋人のために死地に赴く。ダーレン・アロノフスキー監督で映画化決定、ガジェットとイノヴェーションの世紀を切り裂くギーク・サスペンス。

機械大好きな主人公が、ある日職場の事故で片脚を失う。
みんなが彼を同情する中、入院先で出会った義肢装具士のローラの義足への愛着にインスピレーションを得た彼は、エンジニアとしての才能を注ぎ込んで生身より高性能の脚を開発しようと思い立つ。
会社が彼の発想を後押ししてくれて開発チームが組まれ、優秀な助手たちに囲まれて開発を進めるうちに、彼は自分自身を完璧な人造人間にしたいという欲望を抑えられなくなってくる。
また、会社には会社の黒い計画があり、彼とローラはそこに巻き込まれていく…。

これは正直言って好みではなかったな。
主人公の思考にまるでついていけなかったために、ただバタバタと会社から逃げたり戻ったりしているだけにしか思えなかった。
自分自身を機械に置き換えて行った結果、いったい何が残るのか。どの部分が自分を自分自身たらしめている部分なのか。

このラスト、私はおぞましさしさしか感じられなかったのだが、これを楽しめる人はこの小説を楽しめるのだろう。
映画化されても見たいとは思わない。