りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

聖痕

聖痕

聖痕

★★★★

あまりの美貌故に性器を切り取られた少年は、みなの煩悩の救い主となるのか? 一九七三年、五歳の葉月貴夫は性器を切り取られた。しかし尚も美しく健やかに成長した彼は、周囲の人びとのさまざまな欲望を惹き起こしていく――。古今の日本語の贅を縦横に駆使し、小説言語の枠を大幅に広げながら、文学史上最も美しい主人公の数奇な人生を追う。朝日新聞連載中から騒然たる話題を振りまいた問題作刊行。

独特な文体といい、物語が抑揚なく(ショッキングな内容にもかかわらず)切れ目なく語られていくスタイルといい、戦後の日本文学風味でそれがまた面白い。
淡々と語られるから淡々と読んでいると突然琴線に触れる文章があってドキッとしたり、これでもかの古語の連呼に「いやな親父だなぁ」と笑えたり。

久々の筒井康隆は相変わらず強烈で実験的で掴みづらくて最高だ。