りつこの読書と落語メモ

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水蜘蛛

水蜘蛛 (白水Uブックス)

水蜘蛛 (白水Uブックス)

★★★★

ホフマンの幻想とカフカの不条理――イノセンスとユーモアが混在し、背徳とエロティシズムが奇妙に乱反射する――マンディアルグが絶賛した幻想の妖女譚「水蜘蛛」をはじめ、永遠の瞬間を百合のひとひらに極めんとした「血と百合」等、夢の現実、生と死に引き裂かれる魂の冒険を描く戦慄の短篇集。

美しくて残酷で悲しくてクスリと笑える短編集。

「水蜘蛛」
男が拾ってきた美しい水蜘蛛は変身する姿を男に見られても逃げることをせず、歌という武器を使って徐々に男を絡め取っていく。
男の方も妻と水蜘蛛のどちらかを選ぶことができず、二人は表身一体なのだという勝手な理屈で両方を封じ込めようとする。
作者による挿画がまた素晴らしい。

「読書熱」
短いけれどインパクトは大!
本ばかり読んでいたら35歳から萎縮が始まり、ついには「頭人間」になってしまった男。
私も「頭人間」にだけはならないように気を付けよう…。

「宝の島」「磁器製の子供」
なんとなく聞いたことがあるようなないような話なのだが、絵が頭に浮かんできて話自体は忘れてしまってもその印象は頭から離れないような気がする。

「最悪の年の年代記作者」
野菜畑が恐ろしい…。

「百合と血」
これも「水蜘蛛」同様、倒錯した愛を描いている。
昆虫も花も…生あるものは美しいけれどグロテスクだ。