りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

春風亭百栄ひとりあそび『ボクの部屋』第13夜

9/5(水)、道楽亭で行われた「春風亭百栄ひとりあそび『ボクの部屋』第13夜」に行ってきた。
いつも道楽亭に行くと始まる前にビールを飲んでいる人がいて羨ましかった。しかし店は狭いし奥の方の席に座ると出るのが面倒くさくて、飲んでる人をちらちらと恨めしく見ながら我慢するしかない。
今日は席に着く前にビールを買うぞ!そんな決意をして出かけて行った。
おかげで待望の生ビールを持って席につくことができて幸せ〜。

・百栄「とんびの夫婦」
・百栄「片棒」
〜仲入り〜
・百栄「桃太郎後日譚 」

道楽亭さんに来ると、こんな小さいハコで落語を見られる幸せをいつもしみじみ感じる。 やはり落語というのはあまり大きなホールで見るような芸じゃないよ。ほんと。

「とんびの夫婦」は三升家う勝さん作の新作落語
う勝さんの話は以前テイト寄席に行った時に聞いたことがある。
かなり年をとってからの入門だったので、同じように遅く入門した百栄師匠に相談したくて末広亭の前で出待ちをされた、とか。

酔っぱらうと女房を殴る亭主。長屋の友だちが心配して家を訪ねると、「でもあの人も殴った後は反省してすごく優しくなるのよ」とのろける女。
反省して結構いろんなものを買ってくれるから、今度はきっとかんざしを買ってくれるはず。殴られるのもそう悪いもんじゃないのよ、と言う。
聞かされた友だちは「そんなのおかしい」「絶対いやだ」と言うのだが、言えば言うほど「でも愛されてるっていうのがわかるから」「あなたも一度亭主を挑発して殴られてみなさいよ」と言う女。
そこへ殴った亭主が帰ってくるのだが、確かに女が話していた通り、かんざしを買って帰ってきて、さらに「一緒に芝居に行こう」と優しい。
後ろで聞いていた友だちは「なにあれ?」「いちゃいちゃしちゃってバカップルじゃない!」と憤慨しながら帰るのだが、確かに一度ぐらい殴られてみるのも悪くはないわね、と思い…。

DVかよ!!と思ったのだが、百栄師匠にふにゃふにゃ語られるとなんかちょっとおかしい。
百栄師匠のやる女房、好きだなぁ。
わざと挑発してくる女房をかわす旦那も味があっていい。

2席目は「片棒」。
赤螺屋(あかにしや)ケチ兵衛という主人が3人いる息子のうち誰に店を継がせたらいいかと番頭に相談する。
番頭は店の一大事に3人がどういう行動をとるかを確かめて決めたらいいのではとアドバイスをし、ケチ兵衛は自分が死んだらどういう葬式を出してくれるかと3人の息子に尋ねることにする。

長男はとにかく贅を尽くして派手にやりましょうと言う。
どれだけ派手にやるかと語るところで、「金銀パールプレゼント」というフレーズに思わず私は笑ってしまったのだが、他の人にはあまり伝わらず、百栄師匠も「ちょっと古かったですかね」。

次男はありきたりの葬式じゃつまらねぇ。世間があっと驚くような葬式にしましょう、と言う。
明らかにどんどん悪ノリしてきて歌を歌ったり花火をあげたり…。きっとここが聞かせどころなのね…。百栄師匠はそれほど達者ではなかったけど。ははは。

そして最後に出てきた三男坊。
唯一親父似なのかえらいケチぶり。極限まで質素にやりましょう、と言う。
このあたりのナンセンスさが百栄師匠らしくて楽しい。

仲入り後は「桃太郎後日譚 」。
これCDで聞いたことがある!
長い噺でたっぷりなんだけど、どこまでもばかばかしい。
雉の鳴き声(けぇぇぇーん)が妙に耳に残った夜だった。