りつこの読書と落語メモ

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白いしるし

白いしるし

白いしるし

白いしるし (新潮文庫)

白いしるし (新潮文庫)

★★★★

女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった――。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

うーん。好きだー。もう無条件に好き。
恋愛なんてもう遠いことでどうでもいいと言えばどうでもいいのだけれど、みっともなくてもなんでもそんな風に誰かを好きになってぶつかっていくのは素晴らしい。叶わなくてもいいじゃないか。
全てをさらけ出してわかりあえたわけではなくても、自分のコアな部分を見せ合って共鳴してはだかになれたのならそれは幸せだ。
そんな風に思った。

主人公の夏目も間島も、そしてもてもての友人瀬田も、欠点だらけのいびつな人間だ。
特に「オトナ」でバランスのとれた瀬田が後半見せる顔には驚いた…。しかしそれを見ないようにするでもなく、かと言ってどうにかしようとするでもなく、受け止めて、距離を変えない夏目が実に「西加奈子」らしく思えた。

絵を描くシーン、絵を見るシーンも良かった。