りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

シガレット

シガレット (エクス・リブリス)

シガレット (エクス・リブリス)

★★★★

ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎…その背後でいったい何が起きていたのか?実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け!

それぞれの章でそれぞれの視点から語られる物語がお互いの謎や空白を埋めていく。
「著者が自ら考案したアルゴリズムで作った粗筋を八年かけて肉付けした」と解説にあったけれど、確かに独自の手法で、表紙にあるようにパズルのようだ。

人間はみな謎だ。自分以外の人間はもちろんのこと、自分自身だって謎に満ちている。
翻弄されたり裏切られて、なぜ?どうして?と頭を抱える。しかし相手には相手の事情があり思考があり感情がある。
その章を読むと理解できた気になるのに視点が変わるとまた理解不能になる。
お互いのことをわかりあえないのにくっついたり離れたりを繰り返す。最後まで読んで、やっぱり人間ってよくわからねぇ!と叫びたくなる。変な小説。