りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

志の輔旅まくら

志の輔旅まくら (新潮文庫)

志の輔旅まくら (新潮文庫)

★★★★★

えー、仕事柄、全国のお客様のもとに参ります。たまの休みには、ぶらり海外へ。いろんな事があります。キューバのカフェでサルサを踊り、石川の博物館の“スパイ大作戦”に仰天。北朝鮮のガイドには小噺を聞かせ、暴風雨の高知、決死の潜入。そうそう、不思議大国インドにゃしびれましたっけ。親友・春風亭昇太とのメヒコ道中も妙な具合ですが、驚きと笑いの旅は明日も続きます。

志の輔師匠の旅のまくらを集めたもの。文章で読んでも充分面白い。
噺家の中でもこの人は言葉のチョイスが抜群に良くてわかりやすく面白い。
だから「(笑)」の記述は要らなかったなぁ、とそこだけちょっと残念。

好奇心旺盛で面白がり家で、でも忙しい売れっ子だけあってやたらとせっかちなのもおかしい。
また、結構神経質っていうか小心者っていうか、なんでもこんでもばーんとこい!じゃないところがいい。
そういうポテンシャルでキューバ、インド、北朝鮮に行くというところがミソなのだ。

キューバのCDショップで)
店には、そうですねえ、CDが150枚くらいあったかなあ。普通CDっていうと縦に背を見せて並んでるでしょう。それが横に並んでいる。その方が枚数が多く見えるということもあるんだろうな。
「どれにしようかなあ…」って眺めてみても、何が何やら分からない。ジャケットのタイトルがスペイン語もしくは英語で書いてあるし、写真にも知ってる顔が全然ない。弱ったなあ。カンを働かせて、選んだCDを店の女の子に渡して、「これ、聞ける?」と聞く。「OK」と言ってアイワのカセットデッキみたいなものをぱかっと開けて聞かせてくれます。今考えると、封を開けたということは、この時点でキャンセルはできなかったわけですが(会場笑)、狭い店内で、いきなりサルサがワアァっとかかる。
「ああ、この曲いいなあ」
なんてぼーっと聞いていると…、気をつけて下さい!もう店員が近くで踊ってます(会場笑)。女の子が私に向かって腰を振りながら、一緒に踊ろうと誘う。そりゃもう、情熱的なダンス。
「いやあ、遠慮するって行って下さいよ。今、選んでる最中なんだから」
通訳してもらっても、女性はちゃんと言い返します。
「この曲を聞いて、体が動かない、踊らないというのは、どこか体が悪いのか?」
「別にどこも悪くないよん」
しょうがないから、とりあえず踊る。踊りながら、別のCDも探す。男女が狭いCD屋で踊ってるんでございます(笑)。もう、踊るのか買うのかどっちかにしろっていう状態で、さらに気が付くとなんだかわからないうちに四枚のCDを手に持ちながら店を出ているのでございます。

いちいちまじめなのがおかしい。
そして求められると最終的にはのってあげるところがおかしい。

また最後に収められていた昇太師匠との漫才?も面白かった。
この二人が仲がいいっていうのがちょっと意外なんだけど、よく二人で海外旅行をしているようで、なんだかとても微笑ましい。

こういうまくらをたっぷり聴ける志の輔師匠の落語会に行ってみたいなぁ。
なかなか気軽にまくらを振るような落語会が最近あんまりないような気がするのだ。お正月の志の輔らくごは気合が入りすぎてて軽いまくらって感じじゃないし、企画モノだとまたちょっとまくらもそちらに偏るし。
志の輔師匠はチケットをとるのが本当に大変なんだけど、頑張って取って年に何回かは見たいなぁ。