りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治独演会 よみうりホール

8/14(水)、よみうりホールで行われた柳家小三治独演会に行ってきた。
池袋の上席昼の部でトリをとっている小三治師匠が体調不良でお休みをしたという話も聞いていて、体調が心配…。
無理はしないでと思う一方で、高座で元気な姿を見せてほしいと願うファンの身勝手さよ。
よみうりホールは初めてだったんだけど、まさかビッグカメラの上にあるとは知らなんだ。そうならそうと言ってよ〜。地図にはそう書いてなかったから、ほよほよ〜と国際フォーラムをさまよってしまったじゃないか。危ない危ない。

それにしても夢空間主催の会の席の悪いことよ、よよよ…。
プレオーダー開始と同時に申し込んで2階席って。
だいたいあの芝浜Tシャツとか欲しいと思う?きれいなおねえさんに黒いスーツ着せてさー。いったいどういう夢の空間だってんだよ。ちっ。(誰も読んでないと思って毒吐き)

と心の中で毒づきつつ開演を待つ。
今日の開口一番はろべえさんかな。〆治さんかな。なんて思っていたら。

めくりが運ばれてきたと思ったらなんと「三三」の文字が!!
うぉおおおおー。開口一番が三三師匠?!すごーーい。うれしいーーー。わーーーーい。
会場全体が「うぉぉぉ」という歓声で大きな拍手。
なんてうれしいサプライズ。素敵すぎる。

柳家三三「しの字嫌い」
柳家小三治粗忽の釘
柳家小三治「一眼国」

いつものように出てきた三三師匠、大きな拍手に迎えられてうれしかっただろうなぁ。
「お後をお目当てに」とまくらもなく始めたのが「しの字嫌い」。
会場全体がものすごい期待感に満ちていたから緊張されたんじゃないかなと思うのだが、力むでもなく出すぎるでもなく、軽く場をあたためたのはさすがだ。
やっぱり寄席に出ているとそういうことがさりげなくできるのだなぁ、となんだか誇らしい気持ちに。私が誇るようなところじゃないんだけどね。

そして登場した小三治師匠。
「この暑いさ中に落語を聞こうとわざわざ出てくるなんて正常じゃありません」と言って、始めたのが「粗忽の釘」。
小三治師匠の「粗忽の釘」が大好きでCDを何度も聞いているのだが、生で見るのは初めて。

奥さんにああだこうだと言われて「お前はすぐにおれの上へ上へ立とうとする」と文句を言ったり、タンスのほかに火鉢、ひょうたん、針箱と乗せて、持ちあがらなくて一つずつおろしていったり、よれよれで戻ってきてからの話…犬の喧嘩を応援したり、蕎麦屋の出前とぶつかりそうになって蕎麦屋が卵屋にぶつかって卵が割れてみんなで交番に行ったり、そのあと家が見つからなくてあちこち彷徨ったり…、何一つ端折らない丁寧な粗忽の釘

お隣に行って煙草をふかしながら「おたくはくっつきあいですか?」と聞いて、聞かれもしないのに「あっしのところはねぇ。…くっつきあいなんですよ」とふにゃ〜と笑うのが本当にかわいい。
小三治師匠のふにゃ〜が大好き。見ているこちらも思わずふにゃ〜と笑ってしまう。

さげで「箒をかけにこなくちゃならない」を「釘をかけにこなくちゃならない」と。小三治師匠まで粗忽になっちゃったみたいで笑ってしまったのだが、中には「間違えた!」と大騒ぎする無粋な客もいたようだ。
私のまわりにはそういう人がいなくてよかった。「お?」となりながらもみんなにこにこ拍手していた。

仲入り後は、浅草の左のあたりの地区を奥山といって…というまくらから「一眼国」。
初めて聞いたのだがちょっと不気味な噺。
何が不気味って、香具師の親方のところに泊めてもらった六部。親方が諸国を回っているときに、化物を見たり変な話を聞いたりしたことがあっただろう、それを教えてくれ、としつこく頼むのだが、頑なに話をしない六部。
どうにか六部をとりなして商売のヒントを得ようとあの手この手で話させようとする親方だったが、あまりにとりつくしまがないのでカチンときて、それまでごちそうを用意するようなことを言っていたのに、冷えたおまんまがあるから茶漬けにでもして食え、と言う。
お茶漬けを食べた六部は突然一つ思い出した話があると言って、一つ目の娘に会った話をするのだ。

このほとんど描かれない六部が最後まで話を聞くとなんだか不気味なのだ。
こうなることがわかっていて話をしたんじゃないか。六部もこの「一眼国」の住人なんじゃんじゃないか。
そんな悪意を少しだけにおわせる。
ゲラゲラ笑ってでも少しだけぞっとする。なかなか夏らしくてよかった。