りつこの読書と落語メモ

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瀧川鯉昇・柳家喬太郎 二人会 「古典こもり その八」

8/2(金)、東京芸術劇場プレイハウスで行われた「瀧川鯉昇柳家喬太郎 二人会 古典こもり その八」に行ってきた。
大好きな鯉昇師匠と喬太郎師匠の二人会ということでいやっほー!!といさんでチケットをとったのだが、そのあと毎月行っている雲助師匠のらくご街道と日にちがかぶっていることに気が付いて、がーん…。 らくご街道も行きたかったなぁ…。残念!

・瀧川鯉◯「かぼちゃや」
柳家喬太郎「宗漢」
瀧川鯉昇「ねずみ」
〜仲入り〜
瀧川鯉昇粗忽長屋
柳家喬太郎「子別れ」

開口一番は鯉○さんの「かぼちゃや」。
途中からわりとしーん…となって、本人悪い汗をかいたのでは…。面白くないわけじゃないのだが、観客との呼吸が合わなくなってしまうと、笑いがぴたっと止まるときがあるんだよねー。
でも見苦しくじたばたすることなくきちんと演じているところが素敵だった。ガンバレー。(←母の気持ち)

喬太郎師匠はお得意のあまちゃん、禁煙のまくらから。
今日のお客さんも喬太郎師匠目当てなかほり、だなー。本当に喬太郎師匠は人気があるなぁ!
「宗漢」は初めて聞く噺だったのだが、面白かった。

決して腕が悪いわけではないのだが人がよくてお金持ちになれないお医者さん。長屋で貧乏暮らしをしているのだが、ある日隣の村から大きな屋敷のお嬢様が病気で見にきてほしいと使いの者がやってくる。
いつも貧乏人ばかり見ていてお金もとれないので、大喜びの先生。ちょっとはくを付けるためにお付きのものを連れて行こうと思い立つのだが、なにせ貧乏でそんな者も雇えない。
ふと見れば自分の女房は髪の毛もざんぎりに切って男か女かわからない風貌。
女房には口をきくなよと念を押して、女房を連れてお屋敷へ。
診察も終わって帰ろうとすると急に天気が崩れ、屋敷の主人に「危ないから一晩泊まっていってくれ」と言われる。
泊まっていってもらいたいが布団を洗濯に出してしまって客人の分がない。
申し訳ないが、先生は息子と、お付きの人は下男と同じ布団で寝てくれと言われて…。

軽めのバカバカしい噺だったが、面白い!
喬太郎師匠で軽い古典ってなんか久しぶりでとっても新鮮だった。

そして出てきた鯉昇師匠。
熱演しない話から、最近判断力が鈍ってきたという話へ。
自分のやることや判断に自信がもてない。昔以上にもやもやしている。多分これも老化の一種。お年寄りが熱中症になるのもそういうことなのだろう。ものすごく暑くても暑いことに気づかない。
自分もその傾向が出てきているので、毎日奥さんに「今日は暑い?そうでもない?」と確認する。奥さんが出かけて留守の時はお隣に行って聞いてみる。「今日は暑い?ですか?」
そう言ってから「でも今週は過ごしやすいですね。今日なんか比較的涼しい…ですか?」と私たちに。
わははははは。もうさりげないのになんともおかしい。この感じがたまらない。

旅の話になったので「宿屋の仇討」かな?と思ったら「ねずみ」。
オーソドックスなかたちでゆっくりたっぷり。鯉昇師匠の甚五郎はそんなに威圧感がない(笑)。
ねずみのおかげで宿屋がどんどん繁盛して、狭い一部屋に何十人、廊下にも何十人、厠にも十何人泊まっている、というのが、鯉昇師匠が言うといつものほんとか嘘かわからないほら話のようで独自の味わい。好きだ〜。

仲入り後は鯉昇師匠の「粗忽長屋」。これがすごい粗忽長屋だった。
「ねずみ」をオーソドックスにゆっくりたっぷりやった反動か?こちらは大きく形を変えた「粗忽長屋」。
行き倒れは20年前の親父で、当人を連れてくると帰った八さんが連れて来たのは親父だけじゃなく長屋の人たち全員。
しっかりしている風の大家さんまでもが「当人がそう言うんだから間違いない」。
「ねずみ」とは打って変わってテンポが速くどこからどこまでもばかばかしくてシュールで大爆笑。
もともと大好きな噺なんだけど、鯉昇師匠の「長屋全員が粗忽」は最高だった!

トリは喬太郎師匠の「子別れ」。
これがまたすごい「子別れ」で。
というのはこの噺にはいくつも泣かせどころがあるのだが、それをいちいち全部封じていくのだ。それはもう小気味いいほどに。
まず亀ちゃんがめちゃくちゃ生意気。豊富な語彙で父親をこき下ろす。
そしておかみさんもまるで耐える女ではない。
酔っぱらった熊さんに「出て行け」と言われて、家を出るシーンでも、亀ちゃんは悲しがったりおとうさんにすがったりせず、むしろせいせいしたように出ていく。

再会のシーンも、番頭さんが仕組んだことだというのを「こういう偶然があるわけがない」とはっきり示し、また亀ちゃんも父親との再会を子どもらしく喜んだりもしない。
そして家に帰ってから父親に会ったことを真っ先に報告する。
父親に「会ったことは言うなよ」と男と男の約束をかわしたのに、もらった小遣いを母親に見つかって責められて最後にはお父さんの金槌でたたくよと言われて、思わず本当のことを話してしまう、というところがサゲにもつながるし泣かせどころの一つなのだが、「そりゃ言うっしょ。ナイショにはしないっしょ」とそこもばっさり。

鰻屋のシーンも「店の鰻を食えるだけ食ってきな」とおかあさんに言われた亀ちゃんがもう気持ち悪くなるまでむきになって鰻を食べるという、いっさい泣けない演出。
おかみさんが上がってきてからもまだ泣かせない。
そしてここまでさんざん封じてきて、最後一気に…。

好き嫌いを言えば決して好きではないのだこういう演出は。ひでぇ子別れだなぁ…と途中何度も思ったのだ。それでもさすがの演技力と吸引力でぐわっ!!と感情を爆発させて見ている側も巻き込んでしまう。
さすがは喬太郎師匠だ。