りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場 7月中席夜の部

7/12(金)、鈴本演芸場 7月中席夜の部に行ってきた。
トリをつとめる喬太郎師匠、「喬太郎 夏のR-18」という企画をやっていて、これはぜひとも行かなければ!と、会社を勝手に早引けして行ったのである。
注意書きに
喬太郎が申し上げる噺には性的な表現や残忍な描写が含まれますので予めご了承ください。
※18歳未満のお客様もご入場いただけますが、保護者の方が判断されることを推奨いたします。
とある。素敵…。

・さん生「替り目」
・市馬「かぼちゃ屋
・小菊「粋歌」
・百栄「露出さん」
・圓太郎「化物使い」
・遊平・かほり「漫才」
・扇辰「麻のれん」
・ダーク広和「マジック」
喬太郎「赤い部屋」

市馬師匠の「かぼちゃ屋」。
これが本当の「かぼちゃ屋」か(笑)。前の日に見た一之輔師匠の与太郎に比べると、抜けてるけど凶暴じゃないしかわいい。そして売るのを助けてくれる親方のやさしさよ…。ぽっ。
与太郎と客とのやり取りで「殴るなんて残虐なことはしねえよ」とR18企画に絡めて一言。いいなぁ。

犯罪というのには流行りすたりがありまして、最近あんまりなくなったのが「露出狂」と始まったのが百栄師匠の「露出さん」。これがもう最高だった。
すっかり町になじんでしまい露出しても誰も驚かなくなったばかりか、悩み事を相談されたり普通に話しかけられるようになった露出さん。

驚かせてやろうと「げへへへへ」と笑ながら近づいてばーーん!と前をあけても、「あー露出さん、こんばんはー。あのね私ねー今度の試合に出たいんだけど補欠でー」「そうか。でもあきらめちゃいけないぞ!」「うんわかった、ありがとう露出さん!」 げへへへへの下卑た笑いから普通の気のいいおじさんにもどるギャップがたまらない。
不思議といやらしさも気持ち悪さもないんだよな。
「町内の時計になれや露出狂」ってもう…!わはははは。

圓太郎師匠の「化物使い」、これも面白かった。
圓太郎師匠、初めて見たんだけど、いかにも頑固おやじがぴったりで、化物に平気で小言を言って働かせるさまがおかしい。

携帯で落語協会のサイトをよく見ているという喬太郎師匠。
他の仕事があって代演をお願いしたとき、だれがやってくれたのかなというのをこのサイトを見て知るのだという。
真打になってまだ1年半ぐらいしかたってないときに代演をしてもらったのだが、後で調べてみたら出てくれたのがさん喬師匠。ひえーーやばい!と思って菓子折り持って師匠の家を訪ねて「申し訳ございませんでした」と頭を下げたら、師匠が「おいおい喬太郎やめてくれよ。もっとフランクに行こうぜ」。
「ほんとにフランクにやったら怒るくせに!」って小指を立てたのがおかしかった。

さて何の噺をやるのだろうと思ったら、あれ?これはあくび指南?え?こういうのもあり?と思っていると、あくび指南をやっている噺家さんを演じていたのだった。
あーこれ聞いたことがある。なんだっけ?と思っていたら「赤い部屋」だった。

お金もある暇もあるやりたいことはみんなやってしまったという屋敷の旦那たち。赤いもうせんを敷き詰めた真っ赤な部屋に、集まって、自分たちのために噺をさせていたところだったのだ。
あまりに退屈だから人が死ぬところを見てみたい、なんてことを思ったこともありましたな、と言う。
それを聞いた噺家が「旦那さま方がそうおっしゃるなら話しますが」と話し始める…。

ある時タクシーの運転手が自分の家を訪ねてきて浮浪者を間違って轢いてしまったと言う。
医者を知らないかと言われて教えてやったのだが、あとから思えば自分が教えたのはやぶ医者だった。もう一軒ある外科は名医と名高いので間違ってやぶを教えてしまって大丈夫だったろうかと思っていると、案の定浮浪者は死んでいた。
これは自分が悪いのだろうか。
自分には悪気はなく親切に教えてやっただけ。だけどたまたま教えたのがやぶ医者だった。名医の方を教えたのなら助かっていたのに。

このことがあってから自分はそういう誰にも知られることのない殺人がやみつきになってしまった。
そんな話を聞かされてドン引きの旦那衆は「もうその話はいいよ」「飲もうよ」とやめさせようとするのだが、噺家は話を辞めない。
こんなこともありましたな、あんなこともありました、自慢げにさもおかしそうに語るのだ。自分はそうやって今まで99人殺してきた、あと一人、あと一人で百人になるんです。
気味が悪くなった旦那衆のもとに、呼んでいた芸者がやってきて、ようやくほっと一息つく。
さあ、もうこの話はやめて陽気にやろうと言うのだが…。

自慢げに殺しを語る噺家がなんとも気持ち悪い。
喬太郎喬太郎じゃなくなってきて、背後に赤い部屋が見えてきて鳥肌がぞわわわわ…。
最後はもう息もできないようで、客席もしーーーーーんと静まり返って、ラスト。
ぐわーー。こわいい。こわいようー。

本当にこういうのをやらせると喬太郎師匠はうまい!
自分で企画してこれだけの客を集めてきっちり仕事をして期待に応える。素晴らしい。