りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳の家の三人会 練馬文化センター

6/28(金)、練馬文化センターで行われた柳の家の三人会に行ってきた。
以前中野ZEROホールで行われた柳の家の三人会に行ったことがあるので、この会はこれで二回目。わりと頻繁にやっていて、すでに次回のチケットも購入済み。

・花どん「出来心」
喬太郎花筏
〜お仲入り〜
・三三「金明竹
花緑「紺屋高尾」

「出来心」は大好きな噺なんだけど、花どんさんの「出来心」は「花色木綿」なし。なんか前置きをえらい丁寧にやるなぁと思っていたら、前置きだけで終わっちゃった。
私が何度も聴いているのは小三治師匠の「出来心」なので、それと比べちゃいけないんだけれど、笑いどころがほとんどなかった…。

喬太郎師匠は練馬や中野に来ると得意の鉄道ネタが話せるので生き生きしている気がする(笑)。
ここのホール(大ホール)は以前小三治一門会で来て二階の最上段に近いところで見たのだが本当に遠くて「ちょっとさすがにこれは落語をやるには大きすぎるホールなのでは?」と思っていたんだけど、喬太郎師匠が「ここではたいてい小ホールでやるので大ホールは初めてなんですが」と言ったあとに「こんな広いところじゃなくてよくね?」と言ったので、胸がスカッとした。
いやほんと。いくら人気公演だからってさーこんな大きなところでやるのはどうかと思うよー。だから夢空間って嫌い…。

花筏」は以前池袋芸術劇場で昇太師匠のを見たことがあるんだけど、それに比べると今一つだった。
喬太郎師匠得意のくすぐりが随所に入っていて爆笑を買っていたけれど、噺自体の面白みがあまり感じられないのだ。

と言いながら、今週はなんとこれで3回目の喬太郎師匠。さすがに週3回は多すぎたなぁ。見すぎてちょっとお腹いっぱい気味だったのかも。

仲入り後に登場したのは三三師匠。
三三師匠にしたら珍しくたっぷり目のまくらがうれしい。
小三治師匠の湯のみの話になり、「あの中には何が入ってると思いますか?」 白湯のこともあるんだけど、一時期あそこに不二家ネクターが入ってたことがある。あんなもん飲んだら余計に喉がイガイガするような気がするんだけど、師匠はネクターが大好物で。
あとコーラも大好きで特に小三治師匠が好んで飲むのがアメリカ製のコーラ。その方が味が濃いんだっていうんですけど本当でしょうかね。でも凝り性な人なので言ってる通りなんでしょう。
コーラを入れて来いと言われたことがあってそれはさすがによした方がいいですよと言ったんですが、「いやコーラがいい」。
「やめたほうがいいですよ」
「いやいいんだ」
二回やめた方がいいと言ったけどそれ以上言うことはできないのでコーラを入れて出したんだけど、高座から降りてきた小三治師匠プンスカ怒っていて「げっぷが出た!」。
だからやめろと言ったのに…。

自分も二つ目の時に湯呑を置いて高座に上がったことがある。
名人になろうと思ったわけじゃなく花粉症がひどくてしゃべっていると喉がカラカラになってくるから。
誤解されちゃいけないと思ってお客さんに説明したんだけど、その日のアンケートを見てみたら「湯呑を置いて高座に出るなんて30年早い!」と書かれていた、と。

あと大江戸線が開通した時の話も面白かった。
自分も7年位前まで練馬に住んでいたんだけど、光が丘から新宿までつながった時に新宿伊勢丹が出した広告が凄かった。
「練馬のみなさん、はじめまして」

この一言で伝わってくる上から目線がなんとも言えない。
あ、喬太郎師匠に対抗して鉄道ネタってわけじゃないですよ。

噺は「金明竹」。おお、こんな軽い噺をやるのか!とちょっと驚いたのだが、この噺大好きなんだ。
三三師匠の松公が小三治師匠に似ていてどきっ!とした。ああ、さすがお弟子さんだ。にた〜と笑った顔がそっくりでうれしくなる。
そして言いたての見事なこと。思わず会場は大拍手。素晴らしい。
おかみさんもとってもかわいい。
いいなぁ、三三師匠は。大好きだ。

トリは花緑師匠。
かるーい感じで噺に入って、え?えええ?これは「紺屋高尾」?
花緑師匠の独自の解釈を加えているのか、今まで見たのとはまるで違う「紺屋高尾」だったんだけど、これは酷い…。
親方の六兵衛のあたたかい気持ちにいつもじーんとくるんだけど、花緑師匠の親方はドタバタしていてまるで人情が感じられない。
久蔵のまじめさもほとんど描かれず、たんに思い込みの激しいドタバタ男でまるで好きになれない。

本寸法でなきゃだめだと言うわけじゃないけど、この噺の良さがすべてかき消されているようで、見ていて苦痛だった…。

とはいってもたとえば喬太郎師匠の「歌う井戸の茶碗」なんかもひどいわけで、でもあれは大好きなんだ。
あと白鳥師匠の落語もいつも見たあと「ひでぇーー」と思うんだけど、あれも大好きなのだ。
だから単に好みの問題なのだろうと思う。
思うけれど、ちょっと「ないわー」と思ったのだった。ファンの方にはごめんなさい。