りつこの読書と落語メモ

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犬婿入り

犬婿入り (講談社文庫)

犬婿入り (講談社文庫)

犬婿入り

犬婿入り

★★★★★

民話的世界を小説に融合させた芥川賞受賞作独身女性の経営する塾に突然押しかけてきた「犬男」との奇妙な生活を描いて新しい小説世界をひらいた表題作と、女子留学生の模索を描く「ペルソナ」の2編を収録

1話目の「ペルソナ」はドイツで暮らす女子留学生の物語。多和田さんには珍しく(?)分かりやすい作品。
人種差別、ナショナリズム、生理的に感じる違和感や嫌悪感。外国でガイジンとして見られる自分と、外国人をガイジンとして見る自分、また外国で見る自分以外の日本人。

道子の感じる違和感や苛立ち、居心地の悪さがまるで自分が体験したように直に伝わってくる。
徐々に苛立ちが募ってきてノイローゼのようになっていく精神状態がリアルだ。 面白かったが「なのだった」「いるのだった」という文体が少し鼻についた。

片や「犬婿入り」の突拍子のなさと言ったら!これは好き好き。
みつこのとらえどころのなさもさることながら太郎の犬ぶり!そして伝聞でしか登場しない松原の造詣がおかしすぎる。「ゲームセンターでよく腰を振ってるという噂が」って、もう…!

ワケわからないのにどこかありそうで妙に余韻が残る。大好きだ。