りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

カラマーゾフの妹

カラマーゾフの妹

カラマーゾフの妹

★★★★

トロヤノフスキーは愕然とした。当時の弁護士は真相まであと一歩というところまで迫っておきながら、最も重要な点を見逃している。極めて重要な、絶対に見逃してはならない点をだ。不可解な「父殺し」から13年。有名すぎる未解決事件に、特別捜査官が挑む。第58回江戸川乱歩賞受賞作。

カラマーゾフの兄弟」の世界を踏襲しつつ、こじんまりと(!)ミステリーに仕上げていて面白かった。
原作の深遠な部分はばっさり切り捨てて、ミステリー部分だけを抽出し、人物像も自分の解釈でシンプルにまとめているのが潔い。
ドストエフスキーが泣くぜよ…と思いつつも、これはこれで1つの作品としてきちんと出来上がっているから良いのでは。

巻末に載っている江戸川乱歩賞の選評が面白くてちょっと得した気分を味わえる。