火山のふもとで

火山のふもとで

★★★★★

「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった。―物語は、1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。「ぼく」が入所した村井設計事務所は、夏になると、軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わしだった。所長は、大戦前のアメリカでフランク・ロイド・ライトに師事し、時代に左右されない質実でうつくしい建物を生みだしてきた寡黙な老建築家。秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は佳境を迎え、その一方、先生の姪と「ぼく」とのひそやかな恋が、ただいちどの夏に刻まれてゆく―。小説を読むよろこびがひとつひとつのディテールに満ちあふれた、類まれなデビュー長篇。

とても良かった。twitter文学賞でハイソとディスられて？いたけど、とても丁寧で上質な良いものを読んだなぁという感じ。
建築だけでなく、料理をつくって食べること、働くこと、暮らすこと、すべてが生きることに繋がっていて、自分自身ももっと暮らしを大切にしたいなぁと思った。
鉛筆を丁寧に削ることや料理の手順、仕事のルールなど、細部がとてもよくてゆっくりじっくり読む楽しさを満喫した。

さすが新潮クレストを立ち上げただけのことはあるなぁ。センスがいいなぁ。（ってそこかい。）