りつこの読書と落語メモ

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ひらいて

ひらいて

ひらいて

★★★★

やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、はじめての恋。彼のまなざしが私を静かに支配する――。華やかで高慢な女子高生・愛が、妙な名前のもっさりした男子に恋をした。だが彼には中学時代からの恋人がいて……。傷つけて、傷ついて、事態はとんでもない方向に展開してゆくが、それでも心をひらくことこそ、生きているあかしなのだ。本年度大江健三郎賞受賞の著者による、心をゆすぶられる傑作小説。

綿矢りさの痛々しさここに極まれり。
ここまで剥き出しの感情を描くことは作者自身も相当な痛みを伴うのではないか。それに真っ向から挑むところに、作者の覚悟というか作家としての心意気を感じる。

こんな恋愛だけはしたくないし、どんなにぐちゃぐちゃにすきになってもこんな風にだけは振る舞いたくない。
読んでいて、ああって声が出てしまうほどの痛さなのだが、決して不快ではない。根底にあるものが美しい。そこが魅力だ。好きだ。