りつこの読書と落語メモ

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葬儀の日

葬儀の日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

葬儀の日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

★★★★

葬式に雇われて人前で泣く「泣き屋」とその好敵手「笑い屋」の不吉な〈愛〉を描くデビュー作はじめ3篇を収録。特異な感性と才気漲る筆致と構成によって、今日の松浦文学の原型を余すところなく示す幻の第一作品集。待望の文庫化。

本のまくらで見て気になっていた作品。これがデビュー作、しかも19歳の時の作品というから驚く。
描かれるのは女同士の屈折した関係。恋愛感情とは違う、お互いを縛りあうような痛めつけあうようなこういう関係は、男女間にはないもののように思う。

1作目「葬儀の日」は、泣き屋と笑い屋の二人の愛を描いた作品。
「片割れ」に出会ってしまったとき、もうそれ以外の人たちが意味をなさなくなってしまう。あなたは私で私はあなた。しかしその関係は心強いものではなく、むしろ自分自身をもなくしてしまうような…。
わかったようなわからないような作品なのだが、得も言われぬ気持ち悪さが残る。

2作目「乾く夏」は、1作目よりもう少しわかりやすい女同士のお互いを縛りあう関係が描かれる。
あーーいや、こういう女…。彩子みたいな女性に出会ったことはないけれど、こういう芽をもった女性は何人か知っている。こういう女性って男性よりも女性に依存してくる傾向にある気がする。おそらく自己愛が強すぎるから異性とは相いれないのだと思う。

3作目「肥満体恐怖症」、これが一番気持ち悪かった…。いやだーこんな女子寮−−−。いやだーーこんな先輩。
ああそうか私は何がいやって、ここに出てくる女たちのSMチックな激しい依存関係がいやなんだ。
「私にはわかってるのよ」という逃げ場のない視線がいやなんだ。

どの作品も気持ち悪いのだがしかしどこか爽快でもあるのが、この作家の不思議なところだ。
これだけいやだいやだ書きながら小説としては決して嫌いじゃないのだな。