りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

極北

極北

極北

★★★★

文明の残骸、絶望と飢餓――極寒の地で命をつなぎ、最果ての迷宮に足を踏み入れた私は……英国新鋭の壮大にして異色の長篇小説。

終末を迎えてもまだ人間は誰かを支配し自分が優位に立ちたいと考えるものなのか。そしてそれでもまだ夢を見続けるのか、少しでも分かり合える誰かを、希望を求めるのか。
これまでにもディストピア小説を何冊か読んできたけれど、主人公が女性なだけに共感する部分も多く、その分痛くもあったし面白くもあった。

希望を抱いたがゆえに自由を奪われて囚人として何年も過ごすメイクピース。なぜそこで戻ってしまったのか?こんなにも用心して生きてきたのになぜ?という気持ちは拭えないのだが、だからこそ生き延びているのだとも思う。
希望は致命傷にもなるが、生きる糧にもなるのだ。
しかし物語としては面白いけれど、こんな世界はごめんこうむりたい…。