りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

泣かない女はいない

泣かない女はいない (河出文庫)

泣かない女はいない (河出文庫)

★★★★

ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」でも、いってしまった。―埼玉郊外の下請け会社に、事務として中途入社した、澤野睦美。恋人・四郎と同棲する彼女に、不意に訪れた心変わりとは?話題の表題作ほか、「センスなし」を収録。恋をめぐる心のふしぎを描く魅力あふれる小説集。

日常を切り取るのがとてもうまくて唸ってしまう。
ちょっとくすんだ職場。近いわけではないけれど案外心地よい同僚たちとの距離感。心惹かれていく過程。職場、恋愛、友人関係、家族、変わらな いものなどなくて、自分だけそこにじっとしている訳にもいかないのだが、時にそこにうずくまっていたい時もある。
表題作のラストがとても好きだ。

2作目も明るい話ではないけれどそこはかとなくおかしくて面白い。ベタつかない筆致がとても好きだ。