りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

世界が終わるわけではなく

世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)

世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)

★★★★★

可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている!そして…という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。

奇想というよりは、くるくると焦点の定まらない女性たちの思考って感じでとっても好みだった。
世界が大変なことになっているのに、母親の誕生日プレゼントを選んでたり、どうでもいいようなことを次から次へと喋っていたり…。
それまで上手に世の中を歩いてきた聡明な女性が不老不死の秘密を得て走り去って行っちゃったり。
拾ってきた猫がどんどん大きくなっちゃって気づいた時には立場が逆転しちゃってたり。

最初と最後とタイトルが繋がっているのも好き。あと連作短編というほどの繋がりはないけど同じ人が何話かに出てきたりするのも面白い。
「予期せぬ旅」「猫の愛人」がことに好みだった。