りつこの読書と落語メモ

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赤い高粱

赤い高粱 (岩波現代文庫)

赤い高粱 (岩波現代文庫)

★★★★

婚礼の輿が一つ,赤に染まる高粱畑の道を往く.輿に揺られる美しい纏足を持った少女.汗に濡れ輿を担ぐ逞しい青年.中国山東省高密県東北郷.日本軍が蛮勇を振るうこの地を舞台に,血と土,酒に彩られた一族の数奇な物語が始まる.その名「言う莫れ」を一躍世界に知らしめた,現代中国文学の旗手の代表作.

莫言らしく暴力と生と死に満ちた過剰な物語。
一面に広がる真っ赤な高粱畑の赤と殺しあう人々が流す血の赤が物語の最初から最後まで続いていて、その臭気がにおってくるようである。
侵略してきた「鬼子」日本軍を迎え撃つために、父と祖父は高粱畑で鉄砲を構えて時を待つ。匂いたつ高粱畑で父の脳裏をよぎるのは、幼い頃に番頭の羅漢大爺と大量の蟹を採ったこと、祖父と祖母の出会い、そして羅漢大爺が日本軍に皮を剥がれて肉屋に切り刻まれたこと…。 <\p>

今まで読んだ作品に比べてユーモアが少ないことと、抗日戦争が物語の中心にあるためとにかく目を覆いたくなるような残虐なシーンが多くて、読むのがしんどかった。
日本軍がこれだけのことをしたのだったら、恨まれても仕方ないな…と思ったが、しかし暴力にはさらなる暴力で応戦する彼らのたくましいこと…。

目を背けたくなるようなシーンが続く中、祖母のたくましさだけが燦然と輝いていた。