りつこの読書と落語メモ

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2012年・年間ベスト

2012年に読んだ本は205冊。ここ数年コンスタントに読んでいるけれど特にたくさん読んだ年だった。
私の場合リア充なときは本を読まなくなるという傾向にあるので、それだけリア貧だった(とほほ…)とも言えるが、精神的に元気がなくなってくると本も読めなくなってしまうので、それだけ結構元気に過ごせたと言うこともできる。
なんにしても読んでる本に励まされ目を開かされ元気をもらえた一年だった。

さらに読書を通じてもう少し外に出たいという気持ちも芽生え、読書会や講演会、文芸漫談などにも行ったことも楽しい経験だった。
憧れの翻訳家の方や作家さん、ブログを書いている方に会うことができたのはうれしかったなぁ!
というわけでまずは国内。ベスト10言いながら10冊に絞りきれず15冊。

1位:「漁港の肉子ちゃん」(西加奈子

漁港の肉子ちゃん

漁港の肉子ちゃん

これは本当に好きな小説だったなぁ。1年間読んだ本を振り返ってみてやはりこの物語が好きだー!という気持ちは薄れなかったので一位に。
底抜けに明るくて優しくて善意のかたまりの肉子ちゃん。
私の好きな海外の小説にあるようなスケールの大きなフィクションではないけれど、このおおらかさあたたかさはもう文句なしに大好きなのである。
西加奈子さんはエッセイも面白かったし、これからもどんどん読んでいきたいと思っている作家さんだ。

2位:「雲をつかむ話」(多和田葉子

雲をつかむ話

雲をつかむ話

多和田葉子さんも今年知って大好きになった作家さん。
この「雲をつかむ話」は読み始めてすぐに「やばい。好きだ。やばい。」とやばやば状態になるほど好みだった。
物語自体もそうだけれど、文体がとても好き。これはやはり母国語の小説でしか味わえない部分だと思うので、日本の作家をこれからも大事に読んでいきたいと思うのであった。

3位:「本にだって雄と雌があります」(小田雅久仁)

本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があります

これももう文句なしの1冊だった。
海外のトンデモ小説に負けずとも劣らないスケールの大きさとゲラゲラ笑えるくすぐりの連発がたまらない。

4位:「双頭のバビロン」(皆川博子

双頭のバビロン

双頭のバビロン

めくるめくストーリーによれよれになる喜びを味わえる珠玉の作品。 衰えることのない創作欲と筆力。素晴らしすぎる。

5位:「母の遺産―新聞小説](水村美苗

母の遺産―新聞小説

母の遺産―新聞小説

これもよかったなぁ。
これを読んだあとしばらく「一人で箱根に長期滞在したい」熱が冷めず、「あたしにゃ遺産は入ってないんだから無理だよ」と何度も自分に言い聞かせたな…。

6位:「楽園のカンヴァス」(原田マハ

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

高校生が選ぶ直木賞作品で1位になったと聞いて、おおっ!と思った。 こういう本を若いときに読んだら、本って面白いんだ!?って思えるよな、確かに。

7位:「無菌病棟より愛をこめて」(加納朋子

無菌病棟より愛をこめて

無菌病棟より愛をこめて

加納朋子さんは大好きな作家さんなのだが、白血病になって闘病生活をされていることは知らなかった。
壮絶な闘病記なのだがまわりを見る温かな視線とユーモアが素晴らしかった。

8位:「奇貨」(松浦理英子

奇貨

奇貨

これはまた独特な小説だったのだがとても良かった。今まで読まず嫌いをしていたことを後悔。
これから次々読んでいきたい作家さんだ。

9位:「誰かが足りない」(宮下奈都)

誰かが足りない

誰かが足りない

とても好きな世界で読み終わりたくないという気持ちで読んでいたことを思い出す。「甘ったるい」という声も聞くけれど私は大好き。

10位:「もういちど生まれる」(朝井リョウ

もういちど生まれる

もういちど生まれる

デビュー作からずっと大好きな作家さん。みずみずしくてまっとうなところがものすごく好み。

11位:「とにかく散歩いたしましょう」(小川洋子

とにかく散歩いたしましょう

とにかく散歩いたしましょう

今年はエッセイも読むようになった。あまり作家さんの日常は知りたくないなぁと今までは避けていたのだが、読んでみると日常の些細な事柄を見つめて書き出す言葉がとてもきれいで、その感性に励まされる気がする。
来年もエッセイ、随筆を読んでいきたい。

12位:「ラブレス」(桜木紫乃

ラブレス

ラブレス

いかにも私が嫌いそうな小説なんだけど、これが意外にも面白かったんだよなぁ。
自分の価値観とは異なっているのに受け入れられるのが不思議だった。

13位:「大好きな本 川上弘美書評集」(川上弘美

大好きな本 川上弘美書評集

大好きな本 川上弘美書評集

本について書いてある本が大好きなのだが、今年もそういう本をたくさん読んだ。
川上さんの書評はそれはもう絶妙で、その本のエッセンスを短い言葉で表現しながらも決してネタバレになるようなことは書かず、読んだことがない本はもちろんのこと、一度読んで「ビミョー」と思った本もまた読み直したくなる。
こういうプロの作家さんによる素晴らしい書評を読むと、私のこのブログなんてほとんど誰も読んでないんだから好き勝手に書いてもええやん!と開き直った気持ちになるときもあるのだけれど、きちんと読めてもいないくせにエラソーに書くのだけはやめよう…と思うのだった。

14位:「21世紀の世界文学30冊を読む」(都甲幸治)

21世紀の世界文学30冊を読む

21世紀の世界文学30冊を読む

これはもしかすると海外のほうにいれた方がいいのかもしれないけれど、日本人が書いているのだからということでこちらに。
都甲さんの講演会は何回か続けて行ってサインもいただいてちょっと特別な思い入れがある。 「世界」って言うけど全部英語で書かれた本じゃないか、という声もあるようだが、まだまだ自分が知らない海外のすんげー本があるんじゃないかという気持ちを逆撫でするような(!)素晴らしい一冊だった。
ここで紹介されている本が翻訳されますように…。なーむー。

15位:「はじめての落語。 春風亭昇太ひとり会」(糸井重里,春風亭昇太

はじめての落語。 春風亭昇太ひとり会 (ほぼ日CDブックス)

はじめての落語。 春風亭昇太ひとり会 (ほぼ日CDブックス)

今年は落語にめざめた年でもあった。そのきっかけになったのがこれ。 落語なんて着物着たじじいが風流なことを言ってるだけでしょ?という私の偏見を見事に覆してくれた一冊。
落語に偏見のある人にはまず春風亭昇太師匠を聞いてみるといいかも。 なんて言いながら、ちょっと落語に興味のある人にこれを貸したら、愛犬チャッピーの話があまりにひどい!とたたき返されてしまった…。愛犬家にこの噺はいかんかった…。

お次は海外。こちらも15冊。
1位:「ブルックリン・フォリーズ」(ポールオースター)

ブルックリン・フォリーズ

ブルックリン・フォリーズ

今まで読んだオースター作品の中でも一番好きな作品。
こういう小さな物語が私は一番好きなのだと思う。
八方塞に思えてもたったひとつの出会いで人生が動き出すことがある。取るに足りないように思えた人生の中にも輝きだすことがある。 しかしその一方でそんな大切な人生がいきなり壊されることもある。
喪失と再生が描かれているこの作品が大好きだ。

2位:「第七階層からの眺め」(ケヴィンブロックマイヤー)

第七階層からの眺め

第七階層からの眺め

全編通してハズレのない素晴らしい短編集だった。今まで味わったことがない独特の世界観がとても好みだった。
長編もよかったし、もっともっと翻訳されてほしい作家だ。

3位:「悪い娘の悪戯」(マリオバルガスリョサ

悪い娘の悪戯

悪い娘の悪戯

悪女に翻弄され続けた平凡な男の物語でこんなにも「読ませる」とは、やっぱりリョサは凄い。濃ゆい物語を読みたければリョサを読めばいいのだ!

4位:「残念な日々」(ディミトリフェルフルスト)

残念な日々 (新潮クレスト・ブックス)

残念な日々 (新潮クレスト・ブックス)

これも読み終わりたくないくらい大好きな作品だった。
大酒飲みの父と叔父たち、祖母と過ごしたド貧乏で不潔で悪癖だらけの家での日々。この残念な日々を思い出す主人公は今はその家を逃れ作家になっている。
残念な日々をただ懐かしく描くだけでないところがとても良かった。

5位:「あの川のほとりで」(ジョンアーヴィング)

あの川のほとりで〈上〉

あの川のほとりで〈上〉

あの川のほとりで〈下〉

あの川のほとりで〈下〉

アーヴィングはやっぱり間違いない!と思わせてくれたこの作品。 やっぱり大好き。

6位:「青い脂」(ウラジーミルソローキン)

青い脂

青い脂

短編集「愛」はだめぽ。だったのだが、こちらは大丈夫だった。短編なら薄まるかと思ったけど案外そんなことはないのだな。
SF風味もあり大胆な歴史改変もあり、すさまじくお下品で破壊的な楽しい小説だ。

7位:「よくできた女」(バーバラピム)

よくできた女(ひと) (文学シリーズ lettres)

よくできた女(ひと) (文学シリーズ lettres)

いかにも退屈な題材なのにこれがもうめちゃくちゃ面白い。
テンション高くこれでもかこれでもかと事件が起きなくても充分面白い小説は書けるのだなぁと思う。もっと翻訳されてほしいいなぁ。バーバラピム。

8位:「悪童日記」(アゴタクリストフ)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

名作と呼ばれている小説をようやく読んだ。
思っていたのとは全く違う後味だったのだが、凄かった。続編も読もうと思いながらなかなか手が出ない…。

9位:「ブエノスアイレス食堂」(カルロスバルマセーダ)

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

これは最初の一文にがつん!とやられ、ひぃーとなりながら一気読み。今もあの衝撃が残っている。

10位:「ブルックリン」(コルムトビーン)

ブルックリン (エクス・リブリス)

ブルックリン (エクス・リブリス)

アイルランドの田舎町からブルックリンに出てきた主人公の成長物語。 若い娘にありがちなひたむきさと傲慢さがとても愛おしい作品だった。

11位:「酒国―特捜検事丁鈎児の冒険」(莫言

酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

ノーベル賞
中国という強烈な国の中にいてさまざまな規制がある中で、幻想とユーモアのベールに包んで物語を描き続ける莫言の切実な思いが伝わってくる作品で、今まで読んだほかの作品とは少し趣が違っていた。
これを機にもっと読まれるようになるといいと思う。

12位:「ロスト・シティ・レディオ」(ダニエルアラルコン)

ロスト・シティ・レディオ (新潮クレスト・ブックス)

ロスト・シティ・レディオ (新潮クレスト・ブックス)

内戦状態にある架空の国で行方不明者を探すラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」の人気DJは託された名前を呼ぶ。不穏な空気の漂う物語なのだが、主人公であるDJの甘い声と彼女が出会う人々との物語が救いになっている。
独特な雰囲気がいつまでも心に残る作品。

13位:「わたしの名は赤」(オルハンパムク

わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫)

わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫)

わたしの名は赤〔新訳版〕 (下) (ハヤカワepi文庫)

わたしの名は赤〔新訳版〕 (下) (ハヤカワepi文庫)

こんな圧倒的な物語をこの順位…というのも気が引けるのだが、まぁ読む時期と自分のコンディションによるものなので…と言い訳。
イスラムの歴史や宗教について言及しながら、ミステリーと恋愛というエンタメ要素もたっぷり。フツウの小説の3倍ぐらいの濃さのある作品。

14位:「女が嘘をつくとき」(リュドミラウリツカヤ)

女が嘘をつくとき (新潮クレスト・ブックス)

女が嘘をつくとき (新潮クレスト・ブックス)

「ソネーチカ」は好みではなかったのだがこちらは面白かった。1作読んで合わないと決め付けちゃいけないね。
嘘をつく女を描いた連作短編なのだが、全編通じて出てくる女性の物語が最後を飾るというつくりも見事だし、この最終章がとても素晴らしくて物語をきゅっとひきしめている。

15位:「犯罪」(フェルディナントフォンシーラッハ)

犯罪

犯罪

北欧ミステリーはじめフランス、アメリカ、イギリスとミステリーをたくさん読んだのだが、もっとも印象に残っているのがこちら。
やはり最終的には「人間」をきちんと描いている作品が印象に残るのだと思う。