りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ならずものがやってくる

ならずものがやってくる

ならずものがやってくる

★★★★

元パンクロッカーで、現在は有名音楽プロデューサーとなったベニー。そして、有能きわまりないが、盗癖を持つその助手のサーシャ。二人がたどる人生は、ささやかな波瀾に満ちていて…。二人からはじまった物語は、それぞれに抱える過去にさかのぼり、彼らと関わった人々につながっていく。ニューヨーク、サンフランシスコ、アフリカ、ナポリと舞台を移し、過去から未来まで自在に行き来しながら描き出されるさまざまな人生の断片は、はたしてどこに行きつくのか。胸を打つ詩情と圧倒的な筆力でアメリカ文学界を席巻した傑作長篇。ピュリッツァー賞、全米批評家協会賞、ロサンゼルス・タイムズ文学賞受賞。

タイトルと名前(イーガン!)から勝手にSFと思い込んでいたのだが違ってた。
レコードのA面、B面にさまざまな曲が収められているように、有名音楽プロデューサのベニーとその助手のサーシャを中心に、彼らと関わった人たちの物語が断片的に語られていき、一つの大きな音楽を奏でているような作りが面白い。

何でも出来るような気持ちを持ちながらも現実には友だちに振り回され、恋愛も自分の思い通りにはいかなかった若かりし日々。
がむしゃらに頑張って仕事で成功をおさめてもそれは永遠には続かない。
誰もが傷を抱え一人でうずくまりながらも、理解しあえる誰か、浮上できるチャンスを夢見ている。

甘くて苦くてニヤリと笑える趣向を凝らした物語だった。