りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

エステルハージ博士の事件簿

★★★★

架空の小国で起こる難事件を、博覧強記のエステルハージ博士が解決。唯一無二の異色作家による、ミステリ、幻想小説怪奇小説を超えた傑作事件簿。世界幻想文学大賞受賞。解説:殊能将之

独特な味わいのある奇妙な作品だ。
饒舌でいて寡黙、真面目でいてユーモラス、論理的でいてオカルティック。
とにかく真面目に話してくれてるから真面目に聞きましょうとシャチこばって聞いていると、語られるのは幻想とも奇想とも法螺ともとれるような不思議話。

肩書きや前評判や登場のしかたまでなにからなにまで大判風呂敷広げまくりのエステルハージ博士だが、いつもスパッと事件を解決するわけでもなくて、時にうやむやのまま立ち去ったりするのも面白い。
大判風呂敷といえばこの物語の舞台がスキタイ=パンノニア=トランスバルカニア三重帝国という架空の国なのだ。いろいろ示唆的ではあるのだが、そこはよくわからなくても十分に面白い。

深読みしたり煙に巻かれたりする楽しさをじっくり味わうのがよいのだろう。 「どんがらがん」とはまた違った風味がある。