りつこの読書と落語メモ

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北欧・ミステリー酒場

北欧・ミステリー酒場に、行ってきたのだ。
当日のあれこれはこちらに書いたのだが、一人ポツン感はありつつもトークショー自体はとても素晴らしく楽しいイベントだった。いろいろ、耳よりなお話が聞けて楽しかった!
以下は当日のあれこれはメモより。

・北欧では推理小説はエンタメとしてポケットブック、文学がハードカバーで販売されていた。
・その中で一世を風靡したのがマルティン・ベックシリーズ。
・マイ・シューヴァルとペール・ヴァールー夫婦の合作。
・事件の謎を追いながら、警察の中の人間関係を詳細に描くという警察小説の走り。
・アメリカではエド・マクヴェインのシリーズがすでに出ていた。
・マルティン・ヴェックシリーズは1巻に30章で全10巻。
・作家としての際だった才能があったのが夫の方だが酒飲みで人付き合いのできない人物で、妻の方が主に社交的な面はカヴァーしていた。

スウェーデンは王国社会で貴族が各地方を統治する徹底した身分社会。
・それが秩序であり差別という意識はなかったが、貴族ではない側には不満もあり、それが1968年に運動となり、「公平と福祉」という動きとなった。
・マルティンベックシリーズが出たのはそういう時代。
・警察官はあらゆる階層の中に入っていって調査するという権限はあるが、警察内部には古い体制も残っており、それにたいしてマルティンベックは苛立ちをあらわしている。
・ラーソンという警部は貴族出身。作者は貴族が警察官になるということの顛末を描こうとしている。
・コルベルというベックの親友の警部はベック以上に警察に絶望している。世の中がデモクラティックに向かおうとしているのに警察内部が変わらないことへの絶望をあらわしている。

・マルティン・ベックシリーズの中で情事殺人がよく描かれる理由は?
・日本などでは誤解があるが、フリーセックスというのは誰とでも自由にするという意味ではなく、free from church つまり、教会の規制、ピューリタンの道徳観からの解放を意味している。
・そのようなムーヴメントがあった頃なので、情事殺人が描かれている(時代をうつしている)。
・妻の方はアンナホルトの翻訳を多く出している。また、マクヴェインはスウェーデンでも評価されているので影響はあったかもしれない。

・アンネ・ホルト
ノルウェーのジャーナリストから警察学校に入り警察官になり、法務大臣になるも2か月でやめ、その後作家に専念。今も執筆を続けている。
・警察小説だが、主人公は同性愛者。北欧では初めてなのでは。
スウェーデンでは人気作家。多作。

ヘニング・マンケル
・父子家庭で、父、姉、祖母の4人暮らし(「タンゴステップ」の舞台)
・高校中退後船乗りになりフランスで一年すごしたのちアフリカのモザンビークへ。そこで脚本家になり、劇場を作り、俳優やスタッフを現地で雇い教育し運営。現在も活動を続けている。そのため年の半分はモザンビークで過ごしている。
自分の財団を持っていてエイズになった人や親を失った子供を支援している。
政治的なこともそうだが、「行動する作家」
しかし本人はいたって物静かで目立たなくて黙って人を観察しているタイプ。

・政治への不安、不満を持っており、またその眼は世界にも向いている。弱者への共感を強く抱いている思想家。
ノーベル文学賞が純文学にしか与えられないということに不満を持っており、近い将来推理小説がとるだろう、と言っている。
・純文学は普遍的な人間を描くが、ミステリーはupdateな主人公、社会を描いている。

・ヴァランダーシリーズはマルティンシリーズをお手本にしている。事件とともに、警察内の個人生活を丹念に描く。
・他国との関係を描いているのはマンケルが国境の近くに住んでいることによるものか?
スウェーデンは移民を受け入れているため、非常に移民が多い。900万人中200万人は新スウェーデン人。

・ドラマや映画になることについてのかかわりは?
・本人がもともと映像に興味があるため、その可能性を模索している。
・マイケルは4度結婚しており、今の妻は名監督イングマール・ベルイマンの娘。
引退してイングマールが脱コミュニケーションを貫いた時も、マイケルは会うことができた。 ・映像、演劇に対しての信頼があったのかもしれない。

・アーナルデュル・インドリダソン(アイスランド
・暴力描写があまりにも酷く、訳していて辛い。どんな人か確かめようと会いにいったが、非常に立派な人。
アイスランド語はわからないため、スウェーデン語版から翻訳した。言葉の曖昧さは近い。