りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

安全な妄想

安全な妄想

安全な妄想

★★★★★

お歳暮を巡る某出版社との「闘争」の記録から、大江健三郎氏とのスパークするディスコミュニケーション木星土星の巨大さへの一考察、さらには人力発電提案まで―。作家生活十周年を迎え、加速する妄想の筆が織りなす、六十六篇の傑作エッセイ集。

面白い!最高!笑った笑った。言葉尻を捉え、そこから次々と繰り広げられていく妄想がたまらなくおかしい。
サービス精神も満タンなのだが、やりすぎじゃないところが心地よい。

こういうエッセイって読み進めていくうちに、鼻についたりするものだけどそれが全くない。
粘着質でないからか?どれも気持ちよくあはは!と笑えて、しみじみと楽しい。

「長嶋くん?!」はエッセイと併せてイラストが最高すぎる!もうあの飛行機のイラストが頭に焼き付いて離れないよ。
「愛しのジャパネット」もいい!日ごろぼやっと見ているだけのものにあそこまで妄想全開させられるなんて、作家の想像力は果てしないぜ!
若手三人が絶妙に「年寄りに好かれそう」っていうのもものすごく的を得ている。

芥川賞をとったときの話も最高だ。
「笑顔はえっちなことがバレてしまうので撮らないでください」って!
巻末の補遺もサービス精神満点。

いままでノーチェックだったのだが、これからは超チェックしよう、このひと。