イスラム飲酒紀行
- 作者: 高野秀行,森清
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2011/06/25
- メディア: 単行本
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ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する—イスラム圏における飲酒事情を描いた“爆笑”ルポルタージュ。
面白かった!
酒飲みたい!って思うと、もういてもたってもいられなくなるんだよね。そうなったときの酒飲みの意地汚さがわかるわかる!握手握手!友だち友だち!
なにもそれをイスラムに来てまで…という面白さ。あなたここまで来てなにやってるの?もう!の馬鹿馬鹿しさがたまらない。
しかし何よりも、イスラムといえば戒律の厳しさや国の強烈なイメージぐらいしか持たない私たちに、そこで暮らす人々が善意があってユーモアがあって人懐っこくて怖くも強烈でもないということを教えてくれる。
酒ある?と聞くとまずは誰もが「何を言う?ないよ!ないにきまってるだろ!」とすべなく答え、しかし諦めて去ろうとすると「酒欲しいのか?」と聞いてくるというこの機微と矛盾。ここらへんの感覚が嫌な感じではなくニヤリと笑える感じで伝わってくる。
著者の視線の柔らかさが読んでる私たちにも波及してきて、いらっと来る出来事もどこかユーモラスで許せる気持ちになる。
イスラムでタブーとされる酒を求めて右往左往するだけのレポでこんな後味を残してくれるとは。只者ではないな…。完敗!最高!