浮雲
- 作者: 二葉亭四迷
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/12/18
- メディア: 文庫
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江戸文学のなごりから離れてようやく新文学創造の機運が高まりはじめた明治二十年に発表されたこの四迷の処女作は、新鮮な言文一致の文章によって当時の人々を驚嘆させた。秀才ではあるが世故にうとい青年官吏内海文三の内面の苦悩を精密に描写して、わが国の知識階級をはじめて人間として造形した『浮雲』は、当時の文壇をはるかに越え、日本近代小説の先駆とされる作品である。
次回の文芸漫談のお題なので読んでみた。日文出身のくせに旧カナにびびる…。昔から近世文学は苦手なんだよう。(←苦手が多い)
最初はうしろの注解を見ながら、しずしずと読んでいたのだが、読みすすめるうちに、話の展開に夢中になりどんどん読んでしまった。
秀才だけど世渡りの下手な文三が、下っ端とはいえ役所勤めをして少しだけど貯金ができて田舎で暮らす母をこちらに呼び寄せようと思っていた矢先に、職場を頸になってしまう。
下宿先の叔母には娘お勢といずれは所帯を持ってほしいというようなことを仄めかされ文三自身もその気でいたのに、頸になったとわかった途端に、叔母は文三を疎んじ蔑むようになる。
またそれまでは文三に気があるようなそぶりさえ見せていたお勢も、文三とは正反対の世渡り上手で軽薄な本田に惹かれていき、心穏やかでいられない文三。
嫉妬と自己嫌悪に苛まれつつも、文三は何をどうするでもなくただうじうじと立ち尽くす…。
こんな家、出て行ってやる!と思いながらも出て行くでもなく、なんだ少しは知性もあると思っていたけどたんなるミーハーだったじゃねぇか!とお勢のことを罵りつつも、その想いを断ち切ることもできない。
頭の中でああでもないこうでもないとこねくり回しつつ実際には何の行動もとらない、日本的うじうじ男小説はここから始まったのか!
これを文芸漫談であのお2人がどう料理するのか。とっても楽しみだ。わくわく。