りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

特捜部Q —Pからのメッセージ—

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

★★★★

特捜部Q」——未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。今回「Q」のカール・マーク警部補と奇人アサドのコンビが挑むのは、海辺に流れ着いたボトルメールの謎。瓶から取り出された手紙の冒頭には「助けて」との悲痛な叫びが。書き手の名前の頭文字はP。しかし、手紙の損傷は激しく、内容の完全な買得は難航した。Pはどうやら誘拐されたようなのだが……。過去の記録に該当する事件は見当たらない。北欧を代表するミステリ賞「ガラスの鍵」賞に輝く著者の最高傑作。人気の警察小説シリーズの第三弾

大好きな特捜部Qシリーズ。3作目も文句なく面白い。
何年も放置されていた「助けて」と書かれたボトルメール。解読できないほど損傷が激しくこれを手がかりに捜査をするのは無理だろうと思われたが、特捜部Qはこの難題にも決してあきらめないのだ。いや、正確に言うと主人公カール警部補はほぼあきらめかけてしまうのだが、助手の2人がそれを許さないのだ。
このカールと助手との関係性がこのシリーズの最大の魅力なのだ。

2作目から登場の問題だらけのアシスタント・ローセが本作では休暇をとり(!)かわりにローセの双子の姉ユアサが捜査に加わってくる。
ローセとはまた違った強烈さをまき散らすユアサなのだが、これがまた独自に優秀なのである。
ローセに手を焼いていたカールがローセ以上に強烈なユアサにヤラれて「早くローセ戻ってきてくれ」とつぶやくのが笑える。

ドタバタ楽しいQチームのシーンとは裏腹に、犯罪シーンはどこまでも残虐でヘヴィだ。
今回犯人は新興宗教にのめりこむ一家に狙いを定め残虐な殺人を繰り返す。そのような犯罪に走るに至る犯人の生い立ちは確かに壮絶で同情を覚えないわけではないのだが、狙うのは抵抗することができない子ども、というところに怒りを感じる。

他の事件の捜査にも借り出され私生活も問題だらけでドタバタしているQチームなのだが、小さな手がかりから徐々に犯人との距離を縮めていく過程がたまらない。
あーーもうそこにいるのにーー!と叫びながら、あっちこっちに頑張れ頑張れと手に汗握りながら読んだ。

アサドの秘密も気になるしトラウマになってる事件の行方も気になる。
4作目もヘヴィそうだけど早く翻訳されるといいな。楽しみ!