りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ゴースト・ハント

ゴースト・ハント (創元推理文庫)

ゴースト・ハント (創元推理文庫)

★★★★

「赤い館」「ゴースト・ハント」などの名高い作品をはじめとする、黄金期最後の英国怪奇小説の名手による傑作短編を、本邦初訳5作を含む全18編を収める決定版。

海外のお化けは正直あまり怖くない。私が怖いのは日本のお化けだ。じっとりしたいつまでもまとわりつくような怨念。古くから伝わる言い伝え。因習。洋物より和物のほうが断然怖い。
この短編集も全部が全部怖かったわけではないのだが、イギリス的な雰囲気に満たされながら少し古めかしい幽霊譚をじっくり読める楽しさがある。古めかしさ、奥ゆかしさがあって、幽霊譚以上の読みごたえを与えている。

ゴーストハント
幽霊屋敷訪問の様子を実況するラジオ番組「ゴーストハント」。屋敷を実際に探検するのはその道の権威であるミニヨン教授。DJのトニーは部屋に残り実況を行うのだが、屋敷の邪悪な「何か」に取り囲まれて、軽薄そのものだった語りが徐々に変化してきて…。
実際探検するより、何かが起きている気配を「見えない」ところから見ているのが一番怖いのかもしれない。そういう意味では読んでる私たちも決して安全ではないのかもしれない…ぞぞぞ…。

「通路」
こちらも幽霊屋敷の話。これは何が怖いってラストが怖い。誰か分からないところが怖い…。

「最初の一束」
何が怖いって愚鈍な田舎の人達の狂信が怖い。柱の中に何が入っているのかは読み進めるうちに想像がつく。それを確かめるに至る過程が怖い。

「チャレルの谷」「不死鳥」「蜂の死」は人間の悪意のこわさがじわり。やり過ぎないところがよい。