地下の鳩
- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/12
- メディア: 単行本
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大阪、ミナミの繁華街―。夜の街に棲息する人々の、懸命で不恰好な生き様に、胸を熱くする力作誕生。
「漁港の肉子ちゃん」とは全く違ったテイストだけど、これもとても良かった。
大阪ミナミの夜の街に生きる三人。キャバレーの呼び込みをしている40歳の吉田、色気のないチーママみさを、巨漢のオカマバーのママミミィ。
傷を負って動けなくなっていることにすら気付いていなくて、虚勢を張っていたり、なにも感じてないように思っていたり、世慣れたつもりでいるのが、読んでいてとても痛々しい。
ずるく生きているつもりでも傷を負った者同士が惹かれ合い、傷をなめ合う。そうしているうちに過去の自分を少しだけ認めてあげられるようになる。
人間の弱さと強さがきちんと描かれていて暗い中にも力強さがあって、とても良かった。
ダークサイド西加奈子も好きだ〜。