りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

無菌病棟より愛をこめて

無菌病棟より愛をこめて

無菌病棟より愛をこめて

★★★★★

2010年6月、私は急性白血病だと告知された。愛してくれる人たちがいるから、なるべく死なないように頑張ろう。たくさんの愛と勇気、あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記。

最後まで読んで涙が止まらなかった。
壮絶な闘病記なのだが、検査や治療や経過について当事者とは思えないほど冷静に観察し記録していて、その精神力に感服する。
そして、持ち前の明るさとユーモアで、過酷な状況の中でも面白いことや明るい面を次々見つけ出すところが本当に素晴らしい。
読んでいる側も思わず「ぷぷっ」と笑ってしまう。

なによりも、関わる人たちへの感謝の気持ちと暖かい眼差し。
なんて優しい旦那様!こんなにも親身になってくれるきょうだいがいるなんて!と思うけれど、それは彼女が家族のことを大切にして惜しみない愛を注いできたから、なのである。
自分が大切にしているからこそ、相手もその気持ちを返してくれるのだよなぁ…。
優しいことや繊細なことが弱さではないということを教えてくれる。

病気と向き合い、「知る」ことを恐れずに情報を自分の武器にして病気と闘い、厳しい治療に時には虚無状態に陥りながらも、いつでも家族や友人に心を開いて、会って話すことを望み、相手を思いやる姿には胸を打たれた。
友人が置いていったカードの言葉には思わず号泣。

同じ病気の人に決して絶望しないでくださいというメッセージを送りたかったとあとがきで書いている加納朋子さん。
自分が病気になった時、こんなふうに振舞えるのだろうかと思うと、全く自信がないけれど、絶対に励まされると思う。手元に置いておきたい一冊。