りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

闇の奥

闇の奥 (光文社古典新訳文庫)

闇の奥 (光文社古典新訳文庫)

★★★★★

船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。

授業(文芸漫談)の内容を忘れないうちに!と読んだのである。

真っ暗な密林の中で起ったこと目にしたことの描写は執拗なほど細部まで描かれながら、それが意味するものについては不自然なほど描かれない。 飛んでくる砲弾、密林に不気味に空いた穴、生き地獄のようなジャングルに似つかわしくない洒落男。

普通に読んだらおそらく私はもやもや〜となって、なんかよくわからないけど不気味!とか、結局なんだったんだ、これは?という感想を抱いていたのだろうが、先日行った「文芸漫談」のおかげで道を示してもらえて、もやもや〜な読書にはならなかった。
クルツ氏が「ジャイアント馬場」に思えたり、「え、奥泉さんこんなところを拾ったんだ?」と笑ったり(この本に笑いどころを見つけられるとは…恐るべし文芸漫談)と稀有な体験ができた。

こんな読み方ができるなんて!
一粒で二度おいしい文芸漫談!