きつねのつき
- 作者: 北野勇作
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本
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きつねのつきはきつねつき、いつか落ちるよすととおおおん。人に化けた者たちが徘徊するこの町で、私と、天井に貼りついた妻と、娘の春子と、三人で静かに暮らす。正しいのか間違っているのかはわからない。私がそう決めたのだ―3・11後の世に贈る、切ない感動に満ちた書き下ろし長編。
面白かった!
ありきたりの日常の中にひょいっと異常が浮かび上がるような前半がとても好みだったのだが、読みすすめるにつれ、日常に異常が混ざっているのではなく、異常の中で懸命に日常を送っていたことがわかり唖然…。
かわいらしい表紙にだまされちゃいけない。これはホラーだ…。
彼らの住む世界は間違いなく「終わっている」。
見捨てられた世界の中で、それでも正気を保っていられるのは日々成長していくムスメのおかげ。
何も知らないムスメは異常な世界を日常と受け止め笑っている。
世界がどんなふうに変わろうとそこだけは確かでそれだけが救いなのかもしれない。