りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

わたしは英国王に給仕した

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

★★★

いつか百万長者になることを夢見て、ホテルの給仕見習いとなったチェコ人の若者。まず支配人に言われたことは、「おまえはここで、何も見ないし、何も耳にしない。しかし同時に、すべてを見て、すべてに耳を傾けなければならない」。この教えを守って、若者は給仕見習いから一人前の給仕人となり、富豪たちが集う高級ホテルを転々としつつ、夢に向かって突き進む。そしてついには、ナチスによって同国の人々が処刑されていくのを横目で見ながらドイツ人の女性と結婚。ナチスの施設で給仕をつとめ、妻がユダヤ人から奪った高額な切手で大金を手に入れる―中欧を代表する作家が、18日間で一気に書き上げたという、エロティックでユーモラス、シュールでグロテスク、ほとんどほら話のような奇想天外なエピソード満載の大傑作。映画『英国給仕人に乾杯!』原作。

深刻な状況を持ち前の要領のよさと叡智で乗り切る主人公。
お金持ちになることを夢見て、時には「ずるいこと」をやりながら、失敗を成功にかえてどんどん上り詰めていくのだが…。

状況がどんどん悪くなり首をくくるしかないような悲惨な状態になっても、まだなお笑ってひょいひょい流れていく…。
ある意味グロテスクにも思えるけど、そうしていないときっと生きていくことはできなかったのだろうな、とも思う。

笑っていいのか泣いていいのかわからないような。複雑な読後感。
結局自分がこの物語をちゃんと理解できたのかどうか…。正直消化しきれなかったので、★三つ。